ペース走の設定ペースと効果は?マラソン完走に向けペース感覚を身に付けよう

yusuke saito
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初心者ランナー
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ペース走の目的ってなに?また、どのくらいのペースで行えばいいの?

そんな疑問にお答えします。

ペース走とは、あらかじめ自分で設定した一定の速度(ペース)で最後まで走り続けるトレーニング方法です。

レース前半にオーバーペースで突っ込み、後半の失速を防ぐためのトレーニングとなります。

そんな今回は、ペース走のトレーニング方法についてご紹介します。

レース本番で失敗しないために、今のうちからペース感覚を身につけておきましょう。

ペース走とは

ペース走とは、あらかじめ自分で設定した一定の速度(ペース)で最後まで走り続けるトレーニング方法です。

例えば、「1km5分00秒ペースで10km走る」と設定した場合、1km目から10km目まで5分00秒/kmペースで走ることになります。

ペース走の効果

続いて、ペース走で得られる効果について見ていきます。

ペース走の効果
  • ペース感覚が養われる
  • オーバーペースを防げる
  • 現時点での自分の走力が把握できる

[効果①] ペース感覚が養われる

一つ目は、ペース感覚を養うことができます。

一定のペースで走行するため、次第に、「歩幅」や「腕振り」のリズムが合っていきます。

マラソンを完走するための鉄則は、「一定ペースで走り続ける」ことです。

前半飛ばしすぎると後半から終盤にかけて失速したり、スタミナ不足で足が動かなくなり、リタイア(DNF)ということも考えられます。

そんな失敗を防ぐために「ペース走」を行い、一定ペースで走る感覚を身体に染み込ませることが大事です。

自分にとって、最適な走りが実現できれば、どんな環境下でも自分のリズムを崩すことなく、走り続けることができ、目標タイムで完走することができるでしょう。

[効果②] オーバーペースを防げる

続いて、オーバーペースを防ぐための我慢強さを鍛えることができます。

レース本番は、何が起こるか分かりません。

というのも、レースはいつもと違う環境、そして独特な雰囲気の中、行われます。

アドレナリンが出て、いつもより速いペースで走ってしまったり、自分より”格上”のランナーについて行ってしまい、後半失速するってことは起こりうる事象です。

ペース走で(自身の)”走りのリズム”を刻んでおくことで、気持ちが高揚したとしてもペースを制御でき、オーバーペースによる失敗を防げるでしょう。

[効果③] 現時点での自分の走力が把握できる

ペース走は、目標とするレースペースに対し、現時点での自分の走力がどのくらいなのか把握する、良いトレーニングメニューです。

例えば、サブ4※を目指す場合、1km5分41秒ペースで走る必要があります。

※フルマラソン4時間以内に完走すること

トレーニング時、レースペース(5分41秒/km)で30km走を行い、レースペースで最後まで走ることができれば、目標達成に1歩前進できたことになります。

ですが、25km地点まではレースペースで走ることができたが、25km以降で徐々にペースダウンし、29km地点でスタミナ切れで立ち止まるとしましょう。

ということは、現時点で、「サブ4を達成するための”走力”はない」ということが分かります。

このように、現時点での自分の走力が把握できるため、目標を変更(サブ4 → サブ4.5)したり、トレーニングメニューを変更したりと、軌道修正する良い機会となります。

ペースの決め方

ペース走はレースペースで長時間・長距離走れるようになるためのトレーニング方法です。

そのため、「自身が目標にしているタイムのレースペースがどのくらいなのか」知っておきましょう。

レースペースの目安

下記は、イーブンペース※で進んだときの目標別レースペースです。

※ほぼ一定ペースで走ること

目標レースペース
サブ34分15秒/km
サブ3.54分58秒/km
サブ45分41秒/km
サブ4.56分23秒/km
サブ57分06秒/km
サブ5.57分49秒/km
サブ68分31秒/km

(上記の表から)例えば、サブ3.5を目指す場合、42.195kmの距離を、スタートからゴールまで4分58秒/kmペースで走りきれれば目標を達成することを表します。

そのため、上記のペースを覚えておくと良いでしょう。

ポイント

このレースペースは”現時点でのあなたの走力”は考慮していません。最終的にあなたが走るための「目標のペース」として捉えておきましょう。

関連記事:フルマラソンラップ&ペース表|サブ2.5〜サブ7まで

現時点での適正ペースを知る方法

上記のレースペースは最終的な目標です。

まずは、現時点での、自身の”走力”を知りましょう。

ただ、ハーフマラソンはおろか、10kmも走ったことのない方が、いきなり、フルマラソンの目標を設定するのは難しいです。

では、どのように設定すればいいのか?

フルマラソンの目標タイムは「12分間走」を行うことで、大まかな予測ができます。

12分間全力で走り、その走行距離に応じて、フルマラソン1kmのペースが算出できます。

例えば、12分間で2.1km進めた場合、1kmのペースは6分10秒と算出※できます。

※詳しくは、下記の記事で解説しています

6分10秒/kmペースで42km走ると、4時間20分12秒で完走できるため、現時点の”走力”は「サブ4.5※」で完走できる可能性があることが分かります。

※フルマラソンを4時間30分以内に完走すること

そのため、仮に、サブ3.5を目標としていた場合、現時点でのあなたの”走力”ではサブ4.5相当しかないため、サブ4.5を目標するのが良いことが分かります。

ポイント

このペースは、あくまで「12分間走」で算出された予想タイムです。

当然、10km、20km、30kmと、長い距離・時間を走れば走るほど、足の痛みやエネルギー切れなど身体の不調が起きます。

なので、実際の予想タイムを決める際は、この12分間走で算出した予想タイムより、やや遅めに設定すると良いでしょう。

詳しくは、フルマラソンの目標タイムの決め方!【12分間走で年齢ごとにペースを計算】で解説しています。

心拍数をもとに適正ペースを決める

(上記の)レースペースをもとにトレーニングする場合、あなたの体調や天候は考慮されていないため、日によっては、同じ6分10秒/kmペースでも感じ方が変わります。

例えば、10kmを6分10秒/kmペースで走る際、「身体が絶好調のとき」と「熱が出て数日寝込んでいたあと」では、”キツさ”は変わってきます。

また、冬の寒い時期より、夏の暑い時期のほうが身体にかかる負荷が大きいため、キツく感じます。

このように、同じ6分10秒/kmペースでも、あなたの体調や天候次第で感じ方が変わるため、練習の目的以上に余計な負荷がかかってしまう恐れがあります。

そんなときにおすすめなのが「心拍数」を考慮して、(ペース走の)ペースを決めることです。

心拍数は身体にかかる負荷が高い(気温が高い、体調不良など)ほど心拍数も上昇するため、その日の体調に合わせたトレーニングができます。

ペース走を行う際は、「自身の最大心拍数の70〜89%を維持する」と良いという目安があります。

そのため、(上記の)心拍数の間で維持するペースで進むことで、余計な負荷がかからず、ケガを未然に防げます。

トレーニングにおける心拍数の目安

心拍数を考慮する場合、ランニングウォッチを装着して、リアルタイムで心拍数を測ることで、(その日の)目安のペースが分かります。

ペース走を行う際は、「自身の最大心拍数の70〜89%を維持する」と良いという目安があります。

心拍数をもとにペースを決める際は、心拍ゾーンを参考にします。

心拍ゾーン最大心拍数の%ゾーン
590〜100%無酸素ゾーン:酸素代謝を主なエネルギー源とするため、長時間行うことはできないが、耐乳酸能力と最大酸素摂取量を高めることができる
480〜90%マラソンペースゾーン:マラソンの際の目安となる心拍数
370〜80%有酸素ゾーン:中程度のトレーニング能力と効率を上げ、身体能力を高める基礎トレーニングに、最も適したペース
260〜70%脂肪燃焼ゾーン:快適で会話ができるペースで、脂肪燃焼率が最高の心拍ゾーン
150〜60%ウォーミングアップゾーン:リラックスしたペースでの、運動前のウォーミングアップと、体力回復のゾーン
Running Magazine Courir 2022.Apr.より引用

(上記の表から)最大心拍数の70〜89%は「心拍ゾーン3〜4」に該当し、有酸素ゾーンからマラソンマラソンペースゾーンであることが分かります。

自身の最大心拍数は、「220 – 年齢」で求められます。

例えば、32歳であれば、188(220 – 32)が最大心拍数となります。

最大心拍数188の場合、最大心拍数の70〜89%は「131〜167※」であることが分かります。

※188×0.7(70%)=131.6、188×0.89(89%)=167.32

そのため、32歳の方が心拍数をもとにペース走を行う場合、心拍数が131〜167の間で維持されるペースで行うと良いでしょう。

ランニングウォッチは走行中に心拍数が表示されます。

そのため、表示される(心拍数の)数値を頼りに、走る速度を調整しましょう。

心拍数の詳細は、ランニング初心者が知っておくべき心拍数に基づくトレーニング方法で解説しています。

関連記事:【2024年】初心者におすすめランニングウォッチ15選!人気ブランドと選び方を紹介

ペース走のやり方

レース1.5ヶ月前から行う

レース3か月前は「走り込み期」として、ジョグLSD、ロング走など完走するための持久力(スタミナ)向上に力を入れます。

ペース走は、土台作りが完了したレース1.5ヶ月前の「実践期」から行います。

ちなみに、「実践期」はレースペース、もしくはレースペースに近いペースで走り、レース本番に向けて身体を仕上げる時期です。

下記が、2週間分のトレーニングスケジュール例です。

月曜日休養
火曜日30〜40分ジョグ
水曜日休養
木曜日8〜10kmペース走
金曜日休養
土曜日60〜120分ジョグ
日曜日休養
月曜日休養
火曜日30〜40分ジョグ
水曜日休養
木曜日6〜8kmビルドアップ走
金曜日休養
土曜日10〜15kmジョグ
日曜日休養

ペース走は、レースペースで行うため、比較的、強度の高い練習です。

そのため、2週間に1〜2回の間隔で行い、ペース感覚を養いましょう。

また、2〜3ヶ月前にペース走を行う場合は、強度を下げることをおすすめします。

レース時期によって、強度を変える

ペース走のペースは、レース時期によって強度を変えましょう。

具体的には、レース3〜2ヶ月前であれば土台作りとしてレースペースより遅いペースで行い、レース1.5〜1ヶ月前はレースペースで行います。

[レース3〜2ヶ月前] イージーペース

レース3〜2ヶ月前であれば土台作りとしてレースペースより遅いペースで行います。

サブ3.5サブ4
レースペース4:58/km5:41/km
①距離10〜30km10〜25km
①時間60〜160分60〜150分
②ペース5分35秒〜6分10秒/km6分20秒〜6分55秒/km
②最大心拍数70〜78%70〜78%
Running Magazine Courir 2021.Dec.より引用

(上記の表から、)「①走る距離 or 時間」 を決め、「②走るペース or 心拍数」を決めて、取り組みましょう。

この場合の「②ペース」の考え方は、下記のとおりです。

  • 「②ペース」を選ぶ場合は、それぞれの目標に合わせて5分35秒〜6分10秒/km、6分20秒〜6分55秒/kmのペースを維持できるように走ります。
  • 「②最大心拍数」を選ぶ場合は、まずは、自身の最大心拍数を測りましょう。例えば、最大心拍数が188の場合、心拍数の70〜78%は「131〜146」になります。この場合、ペース走では心拍数が131〜146で維持できるスピードで走ると良いです。

レース3ヶ月前なので、レースペースより遅いペースで、一定距離・時間走る”走力”を身に付けます。

>> 最大心拍数の測り方はこちら

[レース1.5〜1ヶ月前] レースペース

レース1.5〜1ヶ月前はレースペースで行います。

サブ3.5サブ4
レースペース4:58/km5:41/km
①距離10〜30km10〜30km
①時間50〜150分55〜170分
②ペース4:58/km前後5:41/km前後
②最大心拍数80〜89%80〜89%
Running Magazine Courir 2021.Dec.より引用

レース直前に、仕上げとしてレースペースで走れるか試します。

レース1ヶ月前に30km走を行い、3週間前に20km、2週間前に10kmのペース走を行い、レースペースを身体に刻みましょう。

ペース走を行う際のポイント

続いて、ペース走を行う際のポイントを紹介します。

ポイント
  • 平坦、かつ止まらずに走れる場所で行う
  • 設定距離は普段走っている距離の8割
  • ジョグ用のシューズと履き分ける

[ポイント①] 平坦、かつ止まらずに走れる場所で行う

平坦、かつ止まらずに走れる場所で行いましょう。

例えば、河川敷やランニングコースのある公園などが挙げられます。

街中だと、信号でストップしたり、十字路で減速したりと、一定したリズム・ペースで走ることはできません。

なので、ノンストップで最後まで走れる場所で走ることをおすすめします。

[ポイント②] 設定距離は普段走っている距離の8割

設定距離に決まりはありません。

5km、10km、20kmと、自分が走れそうな距離で行うと良いでしょう。

目安は、普段走っている距離の8割です。

普段10km走っていれば8km、5kmであれば4kmとなります。

普段走っている距離の8割が目安
  • 普段10km走っていれば、ペース走の距離は8km
  • 普段5km走っていれば、ペース走の距離は4km

設定ペースにもよりますが、身体への負荷も大きいため最大でも30km、基本的には15〜20kmを上限に行うと良いでしょう。

[ポイント③] ジョグ用のシューズと履き分ける

ペース走はレースペースで走るため、スピード練に近いトレーニングです。

そのため、スピードを出して走る用のシューズで走りましょう。

シューズは目的によって履き分けると良く、下記のように大きく3つの目的に分けられます。

シューズの履き分け

初心者ランナーは、何足も揃えられないため、「ゆっくり走る用」と「レース用」の2足用意し、ペース走は「レース用」を履いて行うと良いでしょう。

サブ3.5を目標にしている方は、サブ3.5向けの中から「レース用」を、サブ4向けの中から「ゆっくり走る用」のシューズを選ぶ。

サブ4を目標にしている方は、サブ4向けの中から「レース用」を、サブ5向けの中から「ゆっくり走る用」のシューズを選ぶと良いでしょう。

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まとめ

今回は、ペース走について解説しました。

ペース走とは、あらかじめ自分で設定した一定の速度(ペース)で最後まで走り続けるトレーニング方法です。

主に、レース本番で目標を達成するためのトレーニングとなります。

一定のペースで走ることを心がけ、ペース感覚を養いましょう。

本日は以上です。

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Yusuke Saito
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初心者のためのマラソンブログ「31らん(さいらん)」運営者。2018年6月にランニングを始め、年間2,500km走ってます。これまでの記録は、【フルマラソン】 4:06:27(第32回ぐんまマラソン) 【ハーフマラソン】 1:46:18(第39回フロストバイトロードレース)【10キロ】42:47 【5キロ】19:08 【1キロ】3:17 マラソン大会に向けた流れやトレーニング方法、ランニンググッズを紹介していきます。
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