マラソン途中棄権(DNF)とは?リタイアの原因と立ち直るための5つのステップ

yusuke saito

初めてフルマラソンに挑戦するけれど、「完走できるか不安…」という方へ。

この記事では、マラソンにおける途中棄権(リタイア)について詳しく解説していきます。

全国どの大会を見ても、完走率100%という大会は存在しません。

足の痛みや体調不良などで、途中でレースを断念する方は必ず一定数います。

「もうこれ以上走れない」と感じたら、無理をせず勇気を持って棄権しましょう。

この記事を読めば、途中棄権の原因と立ち直るための5つのステップがわかります。

棄権には「DNS」と「DNF」がある

ちばアクアラインマラソン2024の様子
ちばアクアラインマラソン2024の様子

マラソンにおける棄権には、大きく2つのパターンがあります。

棄権の方法
  • DNS(Did Not Start)
  • DNF(Did Not Finish)

DNS(Did Not Start)とは?

DNSは、エントリーはしたものの、スタート地点に立てなかった場合の棄権(欠場)を指します。

DNSの主な原因
  • ケガや体調不良
  • 練習不足によるモチベーション低下
  • 大雨や悪天候で出場を断念
  • 家庭や仕事の事情

レース直前でのケガ、風邪やインフルエンザ等による体調不良などが該当します。

最近では、感染症や家庭・仕事の事情によりDNSとなるケースも増えています。

また、当日の天候(特に大雨)次第で、急遽欠場を決める人も少なくありません。

エントリーするのは簡単ですが、「スタート地点に立つ」というのも意外にハードルが高いものです。

DNF(Did Not Finish)とは?

DNFは、スタート後にレースを途中棄権することを意味します。

DNFの主な原因
  • コース上での事故や転倒によるケガ
  • 元々抱えていた故障の悪化
  • 体調不良(熱中症・脱水症・低体温症など)
  • 練習不足による関門アウト

スタートできたとしても、途中で体に異変が起きることがあります。

特に本番は、普段と異なる環境・天候の中で行われるため、思わぬ体調不良を引き起こすことがあります。

また、大会ごとに「関門(かんもん)」と呼ばれる制限時間ポイントが設けられています。

時間内に通過できなかった場合も、失格(DNF扱い)となりますので、事前に大会公式サイトで関門の場所・時間を確認しておきましょう。

途中棄権(DNF)の割合

参考までに、いくつかの大会のDNF率をご紹介します。

大会名DNF率(途中棄権者数)
北海道マラソン202414.4%(2,545人)
東京マラソン2025約3.4%(1,276人)
第9回水戸黄門漫遊マラソン12.1%(1,280人)
横浜マラソン20248.7%(1,543人)
富山マラソン2024約4.6%(618人)
金沢マラソン2024約7.4%(1,112人)
大阪マラソン2025約4.3%(1,393人)
神戸マラソン2024約6.1%(1,257人)
おかやまマラソン2024約11.5%(1,771人)
高知龍馬マラソン2025約5.3%(505人)
福岡マラソン2024約3.7%(470人)

※天候や当日のコンディションによって、DNF率は変動します

ご覧の通り、どんな大会でも途中棄権するランナーは一定数存在しています。

だからこそ、リタイアを必要以上に怖がらず、落ち着いてレースに臨みましょう。

途中棄権(DNF)する主な原因

東京レガシーハーフマラソン2024の様子
東京レガシーハーフマラソン2024の様子

1. 前半のオーバーペース

レース本番の雰囲気や声援に後押しされて、つい予定より速いペースで走ってしまうことがあります。

身体の調子も仕上がっているので、無理をしてしまいやすいんですね。

オーバーペースになると、後半にスタミナが切れてしまい、結果的に途中で歩かざるを得なくなります。

そのまま体力が持たず、途中棄権に繋がるケースも少なくありません。

事前にペース計画を立て、レース中はGPSウォッチで冷静に確認しながら走りましょう。

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2. 補給の失敗

フルマラソンでは約2,500kcal消費すると言われています。

そのため、エネルギー補給や水分補給を怠ると、後半で体が動かなくなるリスクが一気に高まります。

「まだ大丈夫」と油断せず、早め早めの補給を意識することが大切です。

コース上には給食所が設けられており、バナナやチョコレート、おにぎり、パンなどが用意されています。

また、自身でエネルギージェルを携帯する方法もあります。

練習の段階から、補給のタイミングや食べ物との相性を試しておくと安心です。

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マラソンランナーが使っているジェルとは?

3. 気象条件への対応不足

暑さや寒さ、雨といった気象条件は、フルマラソンの完走に大きな影響を与えます。

暑さによる影響

25℃を超える大会は珍しくなく、中には30℃近くまで気温が上がるレースもあり、熱中症や脱水症のリスクが高まります。

たとえば、札幌市で開催される「北海道マラソン」は、日本で唯一、真夏(8月)に行われるフルマラソンです。

23年の北海道は記録的な暑さが続き、「北海道マラソン2023」当日もスタート時の天候は曇りながら、気温29.2℃、湿度78%という厳しいコンディションでした。

結果、完走率は81%と例年より低く、救護所には熱中症の症状を訴えるランナーが多く集まったといいます。

参考までに、2022年大会は天候曇り、気温24.5℃、湿度60%。完走率は90.3%でした。

暑さによる完走率の低下
  • 北海道マラソン2023:完走率81%(気温29.2℃)
  • 北海道マラソン2022:完走率90.3%(気温24.5℃)

この比較からも、高温がリタイア率を押し上げる大きな要因であることがわかります。

関連記事:暑い日(夏)のマラソン大会の服装は?おすすめアイテムやコーディネート解説

寒さ、雨による影響

一方、寒さや雨もレースへの影響は無視できません。

2025年3月16日に開催された「さいたまマラソン2025」では、雨天、気温6.3℃、湿度98%、降水量15.5mmという最悪のコンディションでした。

この年、申込者14,972人のうち、実際にスタートしたのは11,570人。

参加率は77.3%にとどまり、約20%(3,400人)がDNS(スタートできず欠場)となりました。

ちなみに、前年の「さいたまマラソン2024」は天候に恵まれ、晴れ・気温も穏やかで、参加率は87.0%。

寒さ・雨による出走率の低下
  • さいたまマラソン2025:出走率77.3%(天気:雨)
  • 北さいたまマラソン2024:出走率87%(天気:晴)

この差を見ると、雨天による棄権や欠場も大きなリスク要因であることがわかります。

関連記事:雨の日のフルマラソンの服装|悪天候時ゴールにたどり着く19のヒント

途中棄権(DNF)する方法

ちばアクアラインマラソン2024の様子
ちばアクアラインマラソン2024の様子

マラソン中に体調が悪くなったり、ケガをして走れなくなった場合は、途中棄権(DNF)という判断が必要になることもあります。

ここでは、実際にDNFする際の流れと、注意すべきポイントを紹介します。

1. ケガや体調不良でリタイアする場合

体調が急激に悪化したり、足を痛めて走れなくなったときは、無理せずコースを離れて棄権することが可能です。

必ずしも運営スタッフに申告しなくても、走行を中止することはできます。

その後は、大会が用意している「収容バス」や「収容車」に乗ってフィニッシュ地点まで移動するのが一般的です。

バスや車は、「関門」や「リタイアポイント」といった決められた地点に待機していることが多いため、できる限りそこまで歩いて向かいましょう。

引用元:第8回水戸黄門漫遊マラソン公式サイト

もしリタイア地点がゴールに近ければ、徒歩でフィニッシュ地点へ戻るという選択肢もあります。

メモ

私が「さいたま国際マラソン」でDNFした際は、バスに乗り込むときに500mlの水とひざ掛けを受け取りました。また、停車しているバスの横には仮設トイレも設置されていたので、安心して休むことができました。

【注意点】収容バス・車に乗り込むときの待ち時間

第1回さいたまマラソンの様子

収容バスや車は、関門の規定時間が過ぎるまで出発しません。

これは、公道を封鎖している関係で、全てのランナーが関門を通過してからでないと安全にバスを動かせないためです。

そのため、収容車に乗っても、30分〜2時間ほどバスの中で待機する可能性があります。

退屈しのぎにスマートフォンなどを持っていると安心です。

2. 関門に間に合わなかった場合

京都マラソン2025の様子
京都マラソン2025の様子

大会には、交通規制の都合などから「関門」と呼ばれる通過時間の制限ポイントがいくつか設けられています。

関門が閉鎖されると、それ以降は走ることができず、強制的にDNF(途中棄権)となります。

この場合、スタッフの案内に従い、収容バスや車に乗ってフィニッシュ地点へ移動します。

また、大会によってはリタイア者を回収する「最後尾バス」が運行していることがあります。

このバスに追いつかれた場合も、その時点で競技終了。関門時間前であってもDNF扱いになります。

DNFを乗り越えるための5つのステップ

第40回新潟シティマラソン2024の様子
第40回新潟シティマラソン2024の様子

フルマラソンでDNF(途中棄権)してしまったとき、誰でも落ち込んでしまうものです。

ここでは、そんな気持ちを少しずつ立て直していくための5つのステップをご紹介します。

5つのステップ
  1. DNFを受け入れる
  2. レースを分析する
  3. 焦らず、まずは身体を回復させる
  4. 次の目標を決める
  5. トレーニングを開始する

1. DNFを受け入れる

数ヶ月かけてトレーニングを積み、1週間前からコンディションを整えてきたのに。

「目標タイムどころか、完走すらできなかった」

そんな自分に、悔しさや怒りを感じてしまうかもしれません。

家族や友人、職場の仲間に「フルマラソンを走る」と宣言していたなら、なおさら結果を伝えづらく感じるでしょう。

でも、焦らなくて大丈夫です。少し時間がかかってもいいので、まずは今回の結果を受け入れることから始めましょう。

悔しい気持ちや情けない気持ちは、無理に抑え込む必要はありません。

誰にも迷惑をかけない範囲なら、感情を吐き出してしまって構いません。

泣いてもいいし、怒ってもいい。まずは心のモヤモヤを外に出すことが、次へ進む第一歩です。

DNFはあなただけじゃない

先ほども触れた通り、各大会のDNF率は低くても3%、大会によっては10%を超えることもあります。

つまり、あなただけでなく、毎回多くのランナーがDNFを経験しているということです。

今では速いランナーたちも、あなたと同じくらいの頃にDNFを経験し、そこからステップアップしてきたのかもしれません。

「失敗は成功のもと」という言葉の通り、今回のDNFは、3〜10%の限られたランナーしか経験できない貴重な体験です。

この経験を、次の挑戦にしっかり活かしていきましょう。

2. レースを分析する

DNFのあとに大事なのは、落ち込むだけではなく、自分の走りを冷静に分析することです。

「何が原因だったのか?」を突き止めることで、次へのステップが見えてきます。

以下は、よくある例です。

・途中で腹痛になった
前日当日の食事内容に問題があった?

・前半から飛ばしすぎて後半バテた
→ 実力以上のペース設定をしてしまった?

・関門に間に合わなかった
→ 単純に練習量が不足していた?

・脱水症状になった
水分補給のタイミングが遅れた?

・足の痛みが悪化した
サポーターやテーピングでのケアが不十分だった?

・エネルギー切れで動けなくなった
→ 持っていた補給食が足りなかった?

・気分が悪くなった
→ 練習中にジェルを試さず、本番で初めて使った?

・靴擦れで走れなくなった
→ 新品のシューズを本番でいきなり使った?

・レース後半、身体が冷えた
→ ホットクリームや防寒ウェアの準備を怠った?

・雨で低体温症になった
→ 防水性能の高いジャケットやポンチョを用意しなかった?

このように、人それぞれ思い当たることがあるはずです。

できればレース当日か翌日までに、ノートやスマホにメモしておきましょう。

また、ランナー仲間がいれば、お互いにレースを振り返る時間を作るのもおすすめです。

話して整理することで、原因がよりクリアになります。

3. 焦らず、まずは身体を回復させる

次のレースに向けて「早く練習を再開しなきゃ」と焦る気持ち、よくわかります。

でも、いま一番大事なのは、身体と心をしっかり回復させることです。

特に、足を痛めていたり、体調不良でリタイアしてしまった場合はなおさら。

無理に動こうとすると、回復が遅れるどころか、さらに状態を悪化させてしまうこともあります。

まずは数日〜数週間、しっかり休むことを優先しましょう。

身体が完全に元気を取り戻してから、また走り出せば大丈夫です。

休んでいる間は、思いきって「マラソン」のことを一切考えないくらいの気持ちで。

そうすることで、心身ともにリフレッシュでき、自然と「また走りたい」と思えるようになります。

4. 次の目標を決める

  • 「もう一度、レースに出てリベンジしたい!」
  • 「いや、もうマラソンはやめようかな…」

DNFを経験すると、人それぞれいろんな思いが湧いてくるはずです。

もしリベンジを選ぶなら、まずは次の目標をしっかり決めましょう。

たとえば、「5時間以内で完走する!」と、前回より高い目標に挑戦してもいい。

あるいは「5時間30分以内で完走する」と、前回と同じタイムを目指してもいい。

どちらでも構いません。大切なのは、明確なゴールを持つことです。

目標がないと、つい練習も中途半端になりがちです。

また同じようにリタイアしてしまう。そんな結果を避けるためにも、次に向けてきちんと準備を整えましょう。

次こそ、笑顔でゴールテープを切れるように!

5. トレーニングを開始する

目標を決めたら、トレーニングを開始しましょう。

「2.レースを分析する」で分析した内容をもとに、自分に足りない”点”を補いましょう。

トレーニングの考え方をまとめたので、気になる記事をご覧ください。

また、各目標タイムごとの練習方法をまとめています。

目標タイム別 練習方法

まとめ

今回は、マラソンにおけるリタイア(DNF)について解説しました。

もしDNFを経験したとしても、まずはその結果をしっかり受け止め、次のレースに向けてリベンジを目指していきましょう。

次こそ、笑顔でゴールできることを心から応援しています。

本日は以上です。

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関連記事:フルマラソン当日の過ごし方・1日の流れは?起床時間や朝食など

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初心者のためのマラソンブログ「31らん(さいらん)」運営者。2018年6月にランニングを始め、年間2,500km走ってます。これまでの記録は、【フルマラソン】 3:57:54(ちばアクアラインマラソン2024) 【ハーフマラソン】 1:46:18(第39回フロストバイトロードレース)。マラソン大会に向けた流れやトレーニング方法、ランニンググッズを紹介していきます。
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