マラソンのペース配分の目安!最高のレースを実現するためのレース戦略とは
フルマラソンの走り方が分からない方、必見です。
この記事では、最高のレースを実現するためのレース戦略を紹介します。
実は、マラソン大会で「結果を残す」には、レース後半での失速を防ぐ必要があります。
そこで、重要になるのが、ペース配分です。
多くのランナーは前半飛ばしすぎるあまり、後半、ペースが維持できず、目標のタイムに届きません。
なので、自身のコンディション、気象状況をもとに、瞬時に、ペースを判断する必要があります。
この記事を読めば、ペース配分の目安、スタートからフィニッシュまでのレース戦略が分かります。
マラソンのペース配分
イーブンペースを想定した、ペース配分表を記載します。
サブ3.5、サブ4、サブ5、それぞれの5kmごとのラップ数とタイムです。
サブ3.5
サブ3.5※は、4分58秒/kmペースで走行すると、達成できます。
※フルマラソン3時間30分切り
1km | 4分58秒 |
5km | 24分52秒 |
10km | 49分45秒 |
15km | 1時間14分38秒 |
20km | 1時間39分31秒 |
ハーフ(21.0975km) | 1時間44分59秒 |
25km | 2時間04分24秒 |
30km | 2時間29分17秒 |
35km | 2時間54分10秒 |
40km | 3時間19分03秒 |
フル(42.195km) | 3時間29分58秒 |
サブ4
サブ4※は、5分41秒/kmペースで走行すると、達成できます。
※フルマラソン4時間00分切り
1km | 5分41秒 |
5km | 28分26秒 |
10km | 56分52秒 |
15km | 1時間25分18秒 |
20km | 1時間53分44秒 |
ハーフ(21.0975km) | 1時間59分59秒 |
25km | 2時間22分11秒 |
30km | 2時間50分37秒 |
35km | 3時間19分03秒 |
40km | 3時間47分29秒 |
フル(42.195km) | 3時間59分59秒 |
サブ5
サブ5※は、7分06秒/kmペースで走行すると、達成できます。
※フルマラソン5時間00分切り
1km | 7分06秒 |
5km | 35分32秒 |
10km | 1時間11分05秒 |
15km | 1時間46分38秒 |
20km | 2時間22分11秒 |
ハーフ(21.0975km) | 2時間29分59秒 |
25km | 2時間57分44秒 |
30km | 3時間33分17秒 |
35km | 4時間08分49秒 |
40km | 4時間44分22秒 |
フル(42.195km) | 4時間59分59秒 |
その他、ペースは下記をご覧ください。
関連記事:フルマラソンラップ&ペース表|サブ2.5〜サブ7まで
最高のレースを実現するためのレース戦略
スタート〜序盤(0〜5km)
スタート直後は「前方」「後方」「右方」「左方」、360°どこを見渡しても(コース上は)ランナーで埋め尽くされています。
そのため、スタートラインを超えたあとも渋滞で、中々、前へ進めず、ゆったりなペースで走り始めるでしょう。
(自分が想定していた)設定タイムより遅いペースだからといって、人をかき分けるように進むのは、余計な”体力”と”足”を使うだけなのでNGです。
ここで、勢いよく飛び出すと、必ず後半以降に反動が出て、後悔します。
混雑が解消される〜5kmまでは、ウォーミングアップだと思って走りましょう。
元気のある、この時間帯に、沿道の声援や景色など、大会の雰囲気を楽しみましょう。
- サブ3.5:5分08秒/km(イーブンペース +10秒/km)
- サブ4:5分51秒/km(イーブンペース +10秒/km)
- サブ5:7分16秒/km(イーブンペース +10秒/km)
序盤〜前半(5〜21km)
序盤は、「自身のコンディション(体調)」「気象状況(気温、風の強さ)」をもとに、現在のペースが適切かどうかの確認時間です。
興奮のあまり、オーバーペース(イーブンペース +20秒/km)になっていないか、確認しましょう。
沿道の声援も相まって、『今日は調子がいいぞ!』と勘違いしてしまいがちですが、オーバーペースで走り続けるのは”厳禁”です。
後ろから、どんどんランナーに抜かれてもいいので、『全然、このペースで大丈夫!』と気持ちを抑え、自分のペースで走ることが重要です。
他のランナーを意識しすぎて、”抜いたり抜かれたり”を繰り返してしまうと、後半の大失速に繋がりかねません。
適切なペースでリズムよく、前半は走りましょう。
- サブ3.5:4分48秒/km(イーブンペース -10秒/km)
- サブ4:5分31秒(イーブンペース -10秒/km)
- サブ5:6分56秒(イーブンペース -10秒/km)
中間点〜後半(21.0975〜30km)
21.0975kmの中間点では、現在の調子を確認しましょう。
- 「足は重くないか」
- 「足に痛みはないか」
- 「お腹や頭は痛くないか」
- 「脱水気味になっていないか」
また、中間タイムから、大まかなフィニッシュタイムを予想しましょう。
- 「このままのペースでいけば、目標を達成できるのか」
- 「このままのペースだと間に合わないので、ペースを上げる必要があるのか」
ここで、まだまだ余力があるのなら良いですが、かなりキツい状態であればペースを落とす必要があります。
現在のコンディションと相談して、「ペースを維持するか」「ペースを落とすか」決断しましょう。
このあとやってくる「30kmの壁」に備えると、ここでのペースアップは”厳禁”です。
できれば、ペースを維持した状態で、30km以降を迎えたいところです。
- サブ3.5:4分48秒/km(イーブンペース -10秒/km)
- サブ4:5分31秒(イーブンペース -10秒/km)
- サブ5:6分56秒(イーブンペース -10秒/km)
後半〜終盤(30〜35km)
いよいよマラソン本番である、30km以降の走り方です。
これまでの前半戦とは異なり、一定のリズムで走れていたペースを維持できなくなります。
膝に痛みが出てきたり、ふくらはぎが攣ったり、(エネルギー切れで)ガス欠になったり、前半の余裕が嘘かのような状況が訪れます。
これが、多くのランナーが口を揃える「30kmの壁」です。
前半、オーバーペースで飛ばしてきたランナーは、ここで一気にペースダウンを余儀なくされ、後続からやってきたランナーに次々に抜かれることになるでしょう。
また、タイムを気にしすぎたあまりに、しっかり水分補給・エネルギー補給をしてこなかったランナーも、脱水やガス欠で失速するでしょう。
逆に、前半、落ち着いて入ったランナーは余力を残せているはずなので、ペースアップしたり、失速しないようペースを維持するよう努めましょう。
- サブ3.5:5分08秒/km(イーブンペース +10秒/km)
- サブ4:5分51秒/km(イーブンペース +10秒/km)
- サブ5:7分16秒/km(イーブンペース +10秒/km)
終盤〜ラスト手前(35〜40km)
ラスト5〜7kmは、とても過酷で、肉体的にも精神的にも疲労困憊状態での走りになります。
足取りが重く、(人によっては)走ったり、歩いたりを繰り返しながら、何とか前へ進んでいる状態でしょう。
ここまで来ると、あとは”気持ち”の問題です。
- 「もう、走りたくない」
- 「もう、歩きたくない」
- 「もう、やめたい」
など、ネガティブな感情が頭を埋め尽くしますが、それをもかき消してくれる”沿道の声援”があります。
「頑張れ!頑張れ!」と聞こえてくる声援を”力”に変え、1歩1歩前へ進みましょう。
- サブ3.5:5分18秒/km(イーブンペース +20秒/km)
- サブ4:6分01秒/km(イーブンペース +20秒/km)
- サブ5:7分26秒/km(イーブンペース +20秒/km)
ラスト(40〜42.195km)
残り2km、1kmの看板が見えてくると、足取りは重くても、自然と元気が湧いてきます。
ラスト2kmは短いようで、とても長く感じますが、ゴールを目指し、ただひたすら走るのみ。
もし、音楽を聴いていればイヤホンを外し、沿道の声援に耳を傾けましょう。
そして、最後は、笑顔でフィニッシュラインを超えましょう。
- サブ3.5:気合い
- サブ4:気合い
- サブ5:気合い
ペースを維持するためのヒント
マラソン大会で「結果を残す」には、レース後半での失速を防ぐことが重要です。
そこで、ペースを維持するためのヒントを紹介します。
【ヒント①】イーブンペースで走る
レース展開は、大きく3つのペースに分かれます。
- イーブンペース:終始同じペースで走る方法
- ネガティブスプリット:前半は抑え、後半にペースを上げる方法
- ポジティブスプリット:元気のある前半に貯金を作り、後半の失速を最小限に食い止める方法
最も賢く、省エネに走るなら「イーブンペース」がおすすめです。
普段のトレーニングで培ったペースで淡々と走っていくので、大崩れしづらいメリットがあります。
また、ペースを上げたり下げたりと、波のある走り方より、一定のペースでリズムよく走るほうが、体力の消耗が少なく、ラクに走れます。
前半、他のランナーに惑わされることなく、いかにペースを抑え、走れるかがカギを握ります。
ペース配分は、普段の練習(ペース走など)で感覚を掴むしかないので、(自身の)最適のペースを見つけてみてください。
[補足] ペースの決め方
自身のペースが分からない方は、「12分間走」や「ハーフマラソンのタイム」から予想できます。
ペースの決め方は下記をご覧ください。
関連記事:フルマラソンの目標タイムの決め方!【12分間走で年齢ごとにペースを計算】
関連記事:ハーフマラソンのタイムからフルマラソンのタイムを予想する方法【目標タイム設定できます】
【ヒント②】ラップが一目で確認できるシールを腕に貼る
走っている途中、正しいペースで走れているか不安になるものです。
レース前、自宅でラップタイムを暗記したのに、疲労により記憶が飛んでしまい、忘れてしまうことも。
そんなときは、ラップが一目で確認できるシールを腕に貼ることをおすすめします。
時計を見ながら、シールに書かれたタイムで走れているか、随時、確認できます。
サブ3〜サブ6まで5〜15分刻みで用意されているので、自身が目標としているタイムのシールを購入してみてください。
【ヒント③】時計に執着しない
ランニングウォッチを装着していると、1kmごとのペースが表示されます。
そこで、1kmごとにペースを確認して、正しいペースで走れているか、逐一確認するのはやめましょう。
当然、コースの地形(上り坂、下り坂)や気象状況(向かい風、追い風)によって、1kmごとのペースは変わってきます。
一番は、自分が一番心地よく感じるペースで走ることです。
1分ごとにペースをチェックするのではなく、(自身の)呼吸に耳を傾け、走りに集中しましょう。
見るとしても、5kmごと(5km、10km、15km)です。
【ヒント④】ペーサーを活用する
一人で走るのが不安なら、ペーサーを活用しましょう。
ペーサーとは、目標タイムに向け、先導してくれるランナーのことです。
コースの地形(アップダウンの場所)や当日の天候(気温や風の強さ)、コースの渋滞情報(特にスタート直後)などを考慮しながら、走ってくれます。
なので、サブ4(4時間以内に完走)目標ならサブ4のペーサーに、サブ5.5(5時間30分以内に完走)目標ならサブ5.5のペーサーについていけば、目標のタイムで完走できます。
一人で走るのが苦手な方、目標達成したい方は、ぜひ、ペーサーを利用してみてください。
関連記事:マラソンのペースメーカーとは!ペーサーを利用するメリットと注意点
【ヒント⑤】水分補給はこまめに
レース中は大量の汗をかき、体内の「水分」や「ミネラル」が失われます。
失われた水分やミネラルを補わないと、脱水や足のツリなどの症状を引き起こし、最悪の場合、競技が続けられないことに。
なので、こまめに水分補給を行い、パフォーマンスを維持しましょう。
理想は、全ての給水所で水やスポーツドリンクを受け取り、摂取することです。
時間をロスしたくないあまりに、水分補給を怠る方がいますが、後半、脱水状態でペースが落ちるくらいなら、水分補給したほうが良いです。
各給水所で、確実に水分補給するようにしましょう。
関連記事:レース中の水分補給ガイド!マラソンを完走するための給水のコツ
【ヒント⑥】エネルギー補給でガス欠対策
ランニング中はエネルギーを消費しながら走っているので、エネルギー切れに備え、定期的にエネルギーを補給しましょう。
エネルギー切れを起こすと、倦怠感や集中力の低下などの症状が現れ、ペースを維持できなくなります。
特に、レース後半から終盤に(倦怠感や集中力の低下の)症状が現れるため、レース前半から、自身で用意したエネルギージェルを摂取しましょう。
また、エイドステーションには大会側が用意した「おにぎり」や「パン」などがあるため、必要に応じて補給しましょう。
関連記事:フルマラソンにおすすめの補給食15選【サブ3.5、サブ4、サブ5向け】
まとめ
今回は、最高のレースを実現するためのレース戦略を紹介しました。
マラソンは、ただ単に走るだけの競技ではなく、最初の1km〜最後の1kmまで様々なことを考えながら走る競技です。
ですが、全ての時間を考えるのではなく、ときには、楽しみながら走りましょう。
沿道の声援や景色はレース時にしか体験できません。
ぜひ、「挑戦する気持ち」と「大会の雰囲気」を楽しんでください。
本日は以上です。
関連記事:フルマラソン1週間前の過ごし方!食事や練習メニュー紹介
関連記事:フルマラソン前日の過ごし方!やってはいけない4つのこと
関連記事:フルマラソン当日の過ごし方・1日の流れは?起床時間や朝食など
【要チェック】フルマラソン完走ロードマップ
フルマラソン出場までの流れをまとめました。
初めてフルマラソン出場する方を対象に、下記の内容が分かります。
マラソン大会の選び方
購入すべきランニンググッズ
完走するためのトレーニング方法
レース前日や当日の過ごし方
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【完全版】初心者がフルマラソン完走するためのロードマップ