インターバル走の効果とやり方は?400m〜1,000mの設定ペース紹介
インターバル走の効果ってなに?また、どのくらいのペースで行えばいいの?
そんな疑問にお答えします。
インターバル走(インターバルトレーニング)とは、「疾走(ダッシュ)」 ↔ 「緩走(ゆっくり走る)」を交互に繰り返すトレーニング方法です。
レースペース以上の力で疾走することで、最大酸素摂取能力やスピード力の向上に期待できます。
そんな今回は、インターバル走のトレーニング方法についてご紹介します。
- スピードを上げ、タイム更新をしたい
- 長い距離を楽に走りたい
- 下半身を強固なものにしたい
インターバル走は、短い距離から長い距離までさまざまなので、自分に合ったやり方でトレーニングしてみてください。
インターバル走とは?
インターバル走とは、「疾走(ダッシュ)」 ↔ 「緩走(ゆっくり走る)」を交互に繰り返すトレーニング方法です。
200m、400m、1,000mといった距離を、ややキツイペースで疾走し、休憩を兼ねた緩走で息を整え、再び疾走します。
心拍数が戻り切る前に疾走するため、走る距離、本数が多いほど強度が高くなります。
ただ、足にかかる負担は大きいため、ケガのリスクが高い点に注意しましょう。
脚力が身についていない初心者の方は、1本の距離を短くする(400m→200m)など負荷を最小限に抑え、無理のない範囲で取り組みましょう
インターバル走の運動強度は?
運動強度とは、その運動をするのにあたり、あなた自身の身体にかかる負荷のことを言います。
ランニングでは「走るスピード・時間」により運動強度が変わり、ゆっくり走る際は強度は低く、スピードを出して走る際は強度は高くなります。
そのため、インターバル走は運動強度が高い部類のトレーニングとなります。
ここで、運動強度を示すものとして「心拍ゾーン」を紹介します。
心拍ゾーンとは心拍数ごとに運動強度の段階を区分けしたもので、自身の最大心拍数(100%)に対し、どのくらいの割合の運動強度であるかを判断する指標です。
心拍ゾーンは一般的に5つに分けられます。
心拍ゾーン | 最大心拍数の% | ゾーン |
---|---|---|
5 | 90〜100% | 無酸素ゾーン:酸素代謝を主なエネルギー源とするため、長時間行うことはできないが、耐乳酸能力と最大酸素摂取量を高めることができる |
4 | 80〜90% | マラソンペースゾーン:マラソンの際の目安となる心拍数 |
3 | 70〜80% | 有酸素ゾーン:中程度のトレーニング能力と効率を上げ、身体能力を高める基礎トレーニングに、最も適したペース |
2 | 60〜70% | 脂肪燃焼ゾーン:快適で会話ができるペースで、脂肪燃焼率が最高の心拍ゾーン |
1 | 50〜60% | ウォーミングアップゾーン:リラックスしたペースでの、運動前のウォーミングアップと、体力回復のゾーン |
(上記、表のとおり)心拍ゾーンの数字が大きいほど運動強度が高く、小さいほど強度が低くなります。
インターバル走は「心拍ゾーン5」にあたり、最も運動強度が高いトレーニングメニューとなります。
「心拍ゾーン5」は主に、インターバル走やレベティションなど、スピード練習が該当するため、初心者の方はケガに注意して取り組みましょう。
自身の最大心拍数の求め方
最大心拍数とは、全力で走った際の心拍数の最大値です。
年齢から推算する計算式が一般的で、「220 – 年齢」で求められます。
例えば、32歳であれば、188(220 – 32)が最大心拍数となります。
インターバル走は最大心拍数90〜100%に匹敵する強度となるため、心拍数※169〜188が、インターバル走を行う際の目安です。
※32歳の場合
後述しますが、上記の心拍数(32歳の場合、169〜188)を目安にインターバル走のペースを設定すると、故障のリスクを低減できます。
上記の計算式はあくまで目安なので、より正確な最大心拍数を知りたい方は、ランニング初心者が知っておくべき心拍数に基づくトレーニング方法で解説しています。
インターバル走の効果
インターバル走の効果は、下記が挙げられます。
- 最大酸素摂取量の向上
- スピードの強化
- 速筋が鍛えられる
[効果①] 最大酸素摂取量の向上
最大酸素摂取量(以下、VO2max)とは、1分間に体内に取り込むことができる酸素量のことです。
最大酸素摂取量が大きい(たくさんの酸素を体内に取り込む能力が優れている)ほど、多くのエネルギーを作り出せるということです。
要は、「最大酸素摂取量が大きい = 長時間走る能力がある」という指標になります。
最大酸素摂取量を向上させるには、高い強度の運動で心肺機能に負荷をかける必要があり、ゼーゼーハーハー言うほどのペースで走るインターバル走は効果的なトレーニングです。
強度が低いLSDでも鍛えることはできますが、効率よく鍛えたいのであれば「インターバル走」をおすすめします。
最大酸素摂取量はランニングウォッチで確認できる
ランニングウォッチを装着することで、日々の”心拍数”や”トレーニングの負荷”からVO2max値を算出してくれます。
下記が、年齢別(男性)Vo2Maxの目安※です。
※ガーミンのウォッチによる測定の場合
目安 / 年齢別 | 20〜29歳 | 30〜39歳 | 40〜49歳 | 50〜59歳 | 60〜69歳 |
極めて優秀 (上位5%) | 55.4 | 54 | 52.5 | 48.9 | 45.7 |
かなり高い (上位5〜20%) | 51.1 | 48.3 | 46.4 | 43.4 | 39.5 |
高い (上位21〜40%) | 45.4 | 44 | 42.4 | 39.2 | 35.5 |
標準 (上位41〜60%) | 41.7 | 40.5 | 38.5 | 35.6 | 32.3 |
低い (60%未満) | < 41.7 | < 40.5 | < 38.5 | < 35.6 | < 32.3 |
例えば、32歳でVo2maxが「49」と表示されれば、「かなり高い」パフォーマンスレベルであることが分かります。
12分間走から最大酸素摂取量を推定することも可
ランニングウォッチをお持ちでない方は、「12分間走」から最大酸素摂取量を推定することも可能です。
やり方は、下記のとおりです。
12分間、全力を出し切るつもりの速いペースで走り、走行距離を計測する
下記が、走行距離から推定する最大酸素摂取量です。
走行距離 (m) | Vo2max |
---|---|
1,400 | 22.5 |
1,500 | 24.6 |
1,600 | 26.8 |
1,700 | 28.9 |
1,800 | 31.0 |
1,900 | 33.1 |
2,000 | 35.3 |
2,100 | 37.4 |
2,200 | 39.5 |
2,300 | 41.6 |
2,400 | 43.8 |
2,500 | 45.9 |
2,600 | 48.0 |
2,700 | 50.1 |
2,800 | 52.3 |
2,900 | 54.4 |
3,000 | 56.5 |
(上記の表から)例えば、走行距離が2,300m(2.3km)だった場合、最大酸素摂取量は「41.6」となります。
あとは、先程のガーミンのデータを用いて、パフォーマンスレベルを判断します。
目安 / 年齢別 | 20〜29歳 | 30〜39歳 | 40〜49歳 | 50〜59歳 | 60〜69歳 |
極めて優秀 (上位5%) | 55.4 | 54 | 52.5 | 48.9 | 45.7 |
かなり高い (上位5〜20%) | 51.1 | 48.3 | 46.4 | 43.4 | 39.5 |
高い (上位21〜40%) | 45.4 | 44 | 42.4 | 39.2 | 35.5 |
標準 (上位41〜60%) | 41.7 | 40.5 | 38.5 | 35.6 | 32.3 |
低い (60%未満) | < 41.7 | < 40.5 | < 38.5 | < 35.6 | < 32.3 |
仮に、32歳で、Vo2maxが「41.6」だとしたら、(上記の赤色箇所)「標準」のパフォーマンスレベルであることが分かります。
関連記事:フルマラソンの目標タイムの決め方!【12分間走で年齢ごとにペースを計算】
[効果②] スピードの強化
マラソンのレースペース以上のスピードで走るため、純粋に、スピード力が向上します。
スピードとは、短い距離を速く走る能力のことを言います。
といっても、マラソンにおいてスピードを出す機会は「ラストスパート」くらいです。
しかも、ラストスパートといっても、多くのランナーは42km走ると体力はゼロに近い状態で、残りの195mを全力走するほど余裕はないため、そもそも、スピードを出して走る機会はありません。
ですが、インターバル走などスピード練のメリットは、レースペース(のスピードに慣れ)がラクに感じられる点にあります。
例えば、サブ4を目標にしている方が、サブ3.5のレースペース※1でインターバル走を繰り返し行うことで、次第に、サブ4のレースペース※2がラクに感じられるようになります。
※1 4:58/km
※2 5:41/km
このように、(インターバル走では)レースペースのスピードに慣れ、長時間走り続ける”力”が身につきます。
[効果③] 速筋が鍛えられる
筋肉の細胞は、「速筋」と「遅筋」の2種類に大きく分けられます。
このように、ゆっくり走るだけでは「速筋」は鍛えられないため、筋力の向上に役立ちます。
当然、「速筋」があるほうが、より速く走れるようになるため、同時に、スピード力も向上します。
インターバル走の種類
インターバル走には、大きく3つの種類があります。
- ショートインターバル
- ミドルインターバル
- ロングインターバル
[種類①] ショートインターバル
ショートインターバルは、200mや400mといった、短い距離で行うインターバル走です。
- 距離走前日の刺激入れに
- フォームの確認
- 初心者向け
ショートインターバルは短い距離なので、疲労度もそこまで高くなく、距離走(15〜40km)の前日など刺激を入れたいときに取り入れると良いです。
また、しっかり腕を振り、足をあげることを意識したフォームの確認にも有効です。
初心者の方はケガのリスクを回避するため、まずは100~200mといった短い距離から始めると良いでしょう。
[種類②] ミドルインターバル
ミドルインターバルは、800mや1,000mといった、やや長めの距離で行うインターバル走です。
- ペース配分が鍛えられる
- スピード持久力が鍛えられる
- 中級者向け
ショートインターバルに比べ、距離が長くなるので、ペース配分が重要になってきます。
前半に突っ込んでしまう(ハイペースで進む)と後半失速してしまうので、最後まで一定のペースを維持できる能力が向上します。
やや強度が上がるトレーニングなので、中級者以上の方におすすめのインターバルです。
[種類③] ロングインターバル
ロングインターバルは、2km〜5kmといった、長い距離で行うインターバル走です。
- より実践的なトレーニング
- スピード持久力が鍛えられる
- 中級者〜上級者向け
距離が長くなればなるほど、レース本番に向けた実践的なトレーニングになります。
負荷も大きいですが、トレーニング後はかなりの力がつく「質の高い」インターバルです。
インターバル走の設定距離や本数は?
インターバル走は設定本数に決まりはありませんが、参考までに本数を記載します。
- 100m×7〜10本 + リカバリー100m
- 200m×10〜15本 + リカバリー200m
- 400m×10〜12本 + リカバリー200m
- 1km×5〜6本 + リカバリー400m
- 2km×4〜5本 + リカバリー400m〜600m
上記は例なので、本数はあなたの走力に合わせて設定しましょう。
インターバル走の設定ペース
続いて、設定ペースを決めていきます。
今回は、5,000mの自己ベスト記録をもとにペースを算出しています。
なので、まだ、5,000m(5km)のタイムがない方は、この機会に測定し、インターバルの設定ペースを決めましょう。
ショートインターバルの場合(200m、400m)
↓ 200mインターバルの場合
5,000mのタイム | ペース | リカバリー |
18分50秒 | 46秒 | 1〜2分 |
20分00秒 | 48秒 | 1〜2分 |
22分00秒 | 53秒 | 1〜2分 |
23分30秒 | 57秒 | 1〜2分 |
25分00秒 | 60秒 | 1〜2分 |
実施例)200m × 15本
↓ 400mインターバルの場合
5,000mのタイム | ペース | リカバリー |
18分50秒 | 92秒 | 1〜2分 |
20分00秒 | 96秒 | 1〜2分 |
22分00秒 | 106秒 | 1〜2分 |
23分30秒 | 113秒 | 1〜2分 |
25分00秒 | 120秒 | 1〜2分 |
実施例)400m × 10〜12本
ミドルインターバルの場合(1,000m)
5,000mのタイム | ペース | リカバリー |
18分50秒 | 3分46秒 | 1分50秒 |
20分00秒 | 4分00秒 | 2分00秒 |
22分00秒 | 4分24秒 | 2分10秒 |
23分30秒 | 4分42秒 | 2分20秒 |
25分00秒 | 5分00秒 | 2分30秒 |
実施例)1,000m × 5〜6本
ロングインターバルの場合(2,000m)
5,000mのタイム | ペース | リカバリー |
18分50秒 | 4分00秒/km | 400~600mジョグ |
20分00秒 | 4分15秒/km | 400~600mジョグ |
22分00秒 | 4分30秒/km | 400~600mジョグ |
23分30秒 | 4分40秒/km | 400~600mジョグ |
25分00秒 | 5分10秒/km | 400~600mジョグ |
実施例)2,000m × 4〜5本
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心拍数をもとに適正ペースを決める
設定ペースをもとにトレーニングする場合、あなたの体調や天候は考慮されていないため、日によっては、同じ400mを100秒ペースで走ろうとしても感じ方が変わります。
例えば、400mを100秒ペースで走る際、「身体が絶好調のとき」と「熱が出て数日寝込んでいたあと」では、”キツさ”は変わってきます。
また、冬の寒い時期より、夏の暑い時期のほうが身体にかかる負荷が大きいため、キツく感じます。
このように、同じ400mを100秒ペースでも、あなたの体調や天候次第で感じ方が変わるため、練習の目的以上に余計な負荷がかかってしまう恐れがあります。
そんなときにおすすめなのが「心拍数」を考慮して、(インターバル走の)ペースを決めることです。
心拍数は身体にかかる負荷が高い(気温が高い、体調不良など)ほど心拍数も上昇するため、その日の体調に合わせたトレーニングができます。
インターバル走を行う際は、「自身の最大心拍数の90〜100%を維持する」と良いという目安があります。
ただ、初心者の方が最大心拍数100%(=全力走)をしてしまうとケガのリスクが高まるため、「最大心拍数80〜90%」を目安に取り組みましょう。
(上記の)心拍数の間で維持するペースで進むことで、余計な負荷がかからず、ケガを未然に防げます。
トレーニングにおける心拍数の目安
心拍数を考慮する場合、ランニングウォッチを装着して、リアルタイムで心拍数を測ることで、(その日の)目安のペースが分かります。
ここでは、初心者向けに「自身の最大心拍数の80〜90%」を目安に解説します。
自身の最大心拍数は、「220 – 年齢」で求められます。
例えば、32歳であれば、188(220 – 32)が最大心拍数となります。
最大心拍数188の場合、最大心拍数の80〜90%は「150〜169※」であることが分かります。
※188×0.8(80%)=150.4、188×0.9(90%)=169.2
そのため、32歳の方が心拍数をもとにインターバル走を行う場合、心拍数が150〜169の間で維持されるペースで行うと良いでしょう。
実施例)400m × 10〜12本
設定ペース:心拍数150〜169の間で維持する速度
ランニングウォッチは走行中に心拍数が表示されます。
そのため、表示される(心拍数の)数値を頼りに、走る速度を調整しましょう。
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まとめ
今回は、インターバル走についてまとめてみました。
改めて、おさらいです。
インターバル走(インターバルトレーニング)とは、「疾走(ダッシュ)」 ↔ 「緩走(ゆっくり走る)」を交互に繰り返すトレーニング方法です。
また、下記がインターバル走の効果です。
- 最大酸素摂取量の向上
- スピードの強化
- 速筋が鍛えられる
以上、インターバル走についてでした。
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【要チェック】フルマラソン完走ロードマップ
フルマラソン出場までの流れをまとめました。
初めてフルマラソン出場する方を対象に、下記の内容が分かります。
マラソン大会の選び方
購入すべきランニンググッズ
完走するためのトレーニング方法
レース前日や当日の過ごし方
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