レペティショントレーニングの効果と設定ペースは?スピードを強化してランニング力を鍛えよう
レペティショントレーニングの効果ってなに?どのくらいのペースで行えばいいの?
そんな疑問にお答えします。
レペティショントレーニング(以下、レペティション)とは、全力走と完全休養を交互に繰り返すトレーニング方法です。
スピード力が身に付き、かつフルマラソン35km以降の苦しい中でも足が止まらず、最後まで頑張れるだけの気持ちを鍛えられます。
そんな今回は、レペティショントレーニングについてご紹介します。
足に負荷がかかるトレーニングなので、ケガには注意して行いましょう。
レペティションとは?
レペティションとは、全力走と完全休養を交互に繰り返すトレーニング方法です。
200m、400m、1,000mといった距離を全力で走り、5〜15分ほど息が整うまで完全に休息し、再び、全力疾走していきます。
全力で走る(無酸素運動)ため、とても苦しく、足が重く感じると思います。
無酸素状態になって身体が苦しんでいる状態を、あえて生み出すことで、その「苦しさを耐えられる能力を養う」のがレペティションです。
レペティションで体感した苦しさは、身体がボロボロで限界に近いフルマラソン35km以降に活きてきます。
ただのスピード練習ではなく、最後まで食らいつく”精神力”も鍛えられる、良いトレーニングです。
レペティショントレーニングの運動強度は?
運動強度とは、その運動をするのにあたり、あなた自身の身体にかかる負荷のことを言います。
ランニングでは「走るスピード・時間」により運動強度が変わり、ゆっくり走る際は強度は低く、スピードを出して走る際は強度は高くなります。
そのため、レペティションは運動強度が高い部類のトレーニングとなります。
ここで、運動強度を示すものとして「心拍ゾーン」を紹介します。
心拍ゾーンとは心拍数ごとに運動強度の段階を区分けしたもので、自身の最大心拍数(100%)に対し、どのくらいの割合の運動強度であるかを判断する指標です。
心拍ゾーンは一般的に5つに分けられます。
心拍ゾーン | 最大心拍数の% | ゾーン |
---|---|---|
5 | 90〜100% | 無酸素ゾーン:酸素代謝を主なエネルギー源とするため、長時間行うことはできないが、耐乳酸能力と最大酸素摂取量を高めることができる |
4 | 80〜90% | マラソンペースゾーン:マラソンの際の目安となる心拍数 |
3 | 70〜80% | 有酸素ゾーン:中程度のトレーニング能力と効率を上げ、身体能力を高める基礎トレーニングに、最も適したペース |
2 | 60〜70% | 脂肪燃焼ゾーン:快適で会話ができるペースで、脂肪燃焼率が最高の心拍ゾーン |
1 | 50〜60% | ウォーミングアップゾーン:リラックスしたペースでの、運動前のウォーミングアップと、体力回復のゾーン |
(上記、表のとおり)心拍ゾーンの数字が大きいほど運動強度が高く、小さいほど強度が低くなります。
レペティションは「心拍ゾーン5」にあたり、最も運動強度が高いトレーニングメニューとなります。
「心拍ゾーン5」は主に、インターバル走やレベティションなど、スピード練習が該当するため、初心者の方はケガに注意して取り組みましょう。
関連記事:インターバル走の効果とやり方は?400m〜1,000mの設定ペース紹介
レペティショントレーニングの効果
レペティションの効果は、下記が挙げられます。
- 最大酸素摂取量の向上
- スピードの強化
- 速筋が鍛えられる
[効果①] 最大酸素摂取量の向上
最大酸素摂取量(以下、VO2max)とは、1分間に体内に取り込むことができる酸素量のことです。
最大酸素摂取量が大きい(たくさんの酸素を体内に取り込む能力が優れている)ほど、多くのエネルギーを作り出せるということです。
要は、「最大酸素摂取量が大きい = 長時間走る能力がある」という指標になります。
最大酸素摂取量を向上させるには、高い強度の運動で心肺機能に負荷をかける必要があり、ゼーゼーハーハー言うほどのペースで走るレペティションは効果的なトレーニングです。
強度が低いLSDトレーニングでも鍛えることはできますが、効率よく鍛えたいのであれば「レペティション」をおすすめします。
関連記事:LSDトレーニングの効果とは!初心者ランナーでも始められる方法を解説
[効果②] スピードの強化
マラソンのレースペース以上のスピードで走るため、純粋に、スピード力が向上します。
スピードとは、短い距離を速く走る能力のことを言います。
といっても、マラソンにおいてスピードを出す機会は「ラストスパート」くらいです。
しかも、ラストスパートといっても、多くのランナーは42km走ると体力はゼロに近い状態で、残りの195mを全力走するほど余裕はないため、そもそも、スピードを出して走る機会はありません。
ですが、レペティションなどスピード練のメリットは、レースペース(のスピードに慣れ)がラクに感じられる点にあります。
マラソンのレースペースは有酸素運動に該当しますが、レペティションは無酸素運動に該当し、とても身体を追い込むトレーニングです。
無酸素状態で身体が苦しい中、全力で走ることで「大きな負荷に耐えられる能力」が次第に身に付き、レースペースがラクに感じられるようになります。
このように、(レペティションでは)レースペースのスピードに慣れ、長時間走り続ける”力”が身につきます。
[効果③] 速筋が鍛えられる
筋肉の細胞は、「速筋」と「遅筋」の2種類に大きく分けられます。
このように、ゆっくり走るだけでは「速筋」は鍛えられないため、筋力の向上に役立ちます。
当然、「速筋」があるほうが、より速く走れるようになるため、同時に、スピード力も向上します。
レペティショントレーニングの設定距離や本数は?
設定距離に決まりはありませんが、一般的に行われる距離は200m、400m、1,000mとなります。
基本的には、「全力疾走できそうな距離で行う」と良いでしょう。
また、本数は距離によって変わりますが、目安は3〜5本となります。
下記が、レペティションの本数と距離の例になります。
- 100m(全力疾走) + 完全休養(5分〜15分) × 5本
- 200m(全力疾走) + 完全休養(5分〜15分) × 5本
- 400m(全力疾走) + 完全休養(5分〜20分) × 4本
- 1,000m(全力疾走) + 完全休養(10分〜20分) × 3本
本数自体は少ないですが、全力疾走するため、1本走っただけでも足への負担はかなりあります。
足に少しでも痛みを感じた場合は、すぐにやめましょう。
心拍数が安静時の数値に戻ってから再び、走り出そう
1本目を全力疾走したあと、完全休養しますが、再び、走り出すタイミングが難しいと思います。
目安は、心拍数が安静時の数値に戻ってからです。
安静時の心拍数とは、身体を動かさずにじっとしているときの1分間あたりの脈拍の数です。
心拍数は、ランニングウォッチで測定できます。
ウォッチの画面にリアルタイムの心拍数が表示されるため、安静時の心拍数に下がるまで待ちましょう※。
※ここでは、安静時の心拍数になるまで待つことを「完全休養」と呼ぶ
人によって、心拍数が下がるまでの時間に差があるため、(上記の)完全休養5分〜20分としています。
休息時は、ストレッチや水分補給をしながら、待ちましょう。
関連記事:ランニング初心者のための水分補給ガイド!おすすめの飲み物や水分補給のタイミングは?
レペティショントレーニングの設定ペース
レペティションは、基本的に全力疾走するため、設定ペースはありません。
タイムは気にせず、1本1本疲労困憊になるまで追い込みましょう。
レペティショントレーニングを行う際のポイント
[ポイント①] ウォームアップとダウンを行い、ケガ予防を
スピード練習は身体への負荷が大きいトレーニングです。
走る時間は短いものの、全力疾走することから関節を痛めたり、肉離れを受傷するリスクがあります。
そのため、ストレッチやジョグなどのウォームアップを行い、筋肉をほぐしてから走り出しましょう。
また、トレーニング後はストレッチを行い、疲労回復を図りましょう。
クールダウンをせずにいると、翌日に疲労を溜め込み、ケガに繋がります。
関連記事:ランニング前のウォームアップのやり方!トップランナーの手順から最適な準備方法を学ぼう
[ポイント②] 平坦、かつ止まらずに走れる場所で行う
平坦、かつ止まらずに走れる場所で行うのが理想です。
例えば、河川敷やランニングコースのある公園などが挙げられます。
街中だと、信号や十字路で減速したりと、一定したペースで走ることはできません。
全力疾走することから、安全を考慮し、見晴らしの良い場所で行いましょう。
[ポイント③] ジョグ用のシューズと履き分ける
レペティションを行う際は、スピードを出して走る用のシューズで走りましょう。
シューズは目的によって履き分けると良く、下記のように大きく3つの目的に分けられます。
初心者ランナーは、何足も揃えられないため、「ゆっくり走る用」と「レース用」の2足用意し、ビルドアップ走は「レース用」を履いて行うと良いでしょう。
サブ3.5を目標にしている方は、サブ3.5向けの中から「レース用」を、サブ4向けの中から「ゆっくり走る用」のシューズを選ぶ。
サブ4を目標にしている方は、サブ4向けの中から「レース用」を、サブ5向けの中から「ゆっくり走る用」のシューズを選ぶと良いでしょう。
まとめ
今回はレペティションの効果や設定ペースについてまとめてみました。
レペティションは、全力走と完全休養を交互に繰り返すトレーニング方法です。
最大酸素摂取能力やスピード、スピードを出すための筋肉が鍛えられるなどの効果があります。
ぜひ、スピードを鍛える際に取り入れてみてください。
また、負荷の大きいトレーニングのため身体のケアも忘れずに!
本日は以上です。
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