ランニングシューズのドロップとは何か?ドロップの違いがランニングに与える影響

ランニングシューズを選ぶときに意外と見落としがちなのが「ドロップ」です。
ドロップとは、シューズのかかととつま先の高さの差のこと。
この数ミリの違いが、走り方や体への負担に大きな影響を与えることがあります。
本記事では、ドロップの基本的な仕組みをわかりやすく解説し、低ドロップ・中ドロップ・高ドロップの特徴と走りへの影響を紹介します。
読み終える頃には、自分の走りに合ったドロップが理解でき、ランニングシューズ選びの参考になるはずです。
ドロップとは何か?

ランニングシューズを選ぶときに出てくる「ドロップ(オフセットとも呼ばれます)」という言葉。

これはシューズのかかととつま先の高さの差のことを指します。
数値はミリメートル(mm)で表されます。
例えば、かかとが40mm、つま先が30mmなら、高さの差は10mm。これを「10mmドロップ」と言います。
一般的にランニングシューズのドロップは0〜12mm程度。
数字が大きいほど“かかとが高い”形になり、角度も急になります。
イメージしやすいのはハイヒール。かかとが高いほど前傾になりやすい、という感覚です。
逆に、かかと25mm・つま先25mmのように同じ高さなら、高さの差は0mm。これを「0mmドロップ」と呼びます。
足全体がフラットに地面に接するので、裸足で走る感覚に近いシューズとなります。
このように、ドロップは小さな数字の違いですが、走り方や体への負担に大きく影響する要素です。
各ドロップの特徴

ドロップは数字が大きいほど「自然に前へ進みやすく」、数字が小さいほど「自分の力で進む」形になります。
ざっくり言うと、高ドロップは初心者向き、中〜低ドロップは経験者向きと考えるとわかりやすいです。
自然に足を前へ出したい方は「高ドロップ(9mm以上)」がおすすめ!

かかとが高いシューズほど、体が自然と前に傾きやすくなります。
イメージとしては「軽くつま先立ちしている状態」。
その場で少し重心を前に移すだけで、勝手に足が出やすい感覚になります。
この特徴のおかげで、余計な力を使わなくても推進力が得られるため、筋力がまだ十分に備わっていない初心者でも走りやすいのがポイントです。
特に大でん筋やハムストリングスにかかる負担を減らせるので、ケガや筋肉痛の予防にもつながります。
自分の力で走りたい方は「低ドロップ(0〜4mm)」がおすすめ!

低ドロップのシューズは、裸足に近い感覚で走れるのが特徴です。
自然に体が前に倒れることがないので、自分の脚力でしっかり前へ進む必要があります。
そのため、足を鍛えたい方やフォームを意識したい方に向いています。
「ゼロドロップ」で有名なブランド アルトラは、低ドロップシューズには膝への衝撃をやわらげる効果があると紹介しています。
かかとが高いシューズだと膝や股関節に余計な負担がかかりやすいですが、ドロップが少ないと自然と姿勢がまっすぐになり、関節や腱への衝撃を減らせるのです。
ほどよいサポートが欲しい方は「中間ドロップ(5〜8mm)」がおすすめ!

高ドロップほど強いサポートは必要ないけれど、ゼロドロップは少し不安…という方には、5〜8mmの中間ドロップがおすすめです。
多くのブランドが販売するランニングシューズの中心帯でもあり、幅広いランナーに合いやすい無難な選択肢です。
人気ランニングシューズブランドとドロップ比較

ランニングシューズのドロップは、ブランドやモデルによって大きく異なります。
ナイキやアディダス、アシックスなどの大手ブランドは、標準的な8〜10mm前後のドロップを多く展開。
一方で、ホカやミズノなどは4〜5mmや極端に低いドロップのモデルもあり、これがブランドごとの走り心地の違いにつながっています。
以下では代表的なブランドごとにモデルとドロップを整理しました。
ナイキ
ナイキは「推進力の強さ」と「安定感」のバランスが特徴。
多くのモデルが8〜10mmのドロップです。
商品名 | ドロップ | 目標タイム |
---|---|---|
アルファフライ 3 | 8mm | サブ2.5 |
ヴェイパーフライ 4 | 6mm | サブ2.5 |
ズーム フライ 6 | 8mm | サブ3.5〜サブ4 |
ペガサス プラス | 9.5mm | サブ3.5〜サブ4 |
ペガサス 41 | 10mm | サブ4 |
ボメロ プラス | 10mm | サブ4.5〜完走 |
ボメロ 18 | 10mm | サブ4.5〜完走 |
ストラクチャー 26 | 10mm | サブ4.5〜完走 |
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アディダス

アディダスはスピードモデルから安定モデルまで幅広く展開。
レース用は6〜7mmの低ドロップが多めです。
商品名 | ドロップ | 目標タイム |
---|---|---|
アディゼロ アディオス プロ 4 | 6mm | サブ2.5〜3 |
アディゼロ タクミ セン 11 | 7mm | ハーフマラソン向け |
アディゼロ EVO SL | 6.5mm | サブ3〜4 |
アディゼロ ボストン 13 | 6mm | サブ4〜5 |
アディゼロ ジャパン 9 | 7mm | サブ3.5〜4 |
アディゼロ SL2 | 10mm | サブ5 |
スーパーノヴァ ライズ 2 | 10mm | トレーニング向け |
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アシックス

アシックスはサポート力に優れたモデルが多く、幅広いランナーに対応。
エリート向けの低ドロップから、安定感重視の高ドロップまで揃っています。
商品名 | ドロップ | 目標タイム |
---|---|---|
METASPEED RAY | 5mm | サブ2.5 |
METASPEED SKY TOKYO | 5mm | サブ2.5 |
METASPEED EDGE TOKYO | 5mm | サブ2.5 |
METASPEED EDGE TOKYO | 5mm | サブ2.5 |
SONICBLAST | 8mm | サブ3.5 |
S4+ YOGIRI | – | サブ4 |
MAGIC SPEED 4 | 7mm | サブ4 |
EvoRide Speed 3 | – | サブ4 |
NOVABLAST 5 | – | サブ4~5 |
GT-2000 14 | 8mm | サブ5 |
GEL-KAYANO 32 | 8mm | 完走 |
GEL-NIMBUS 27 | – | 完走 |
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ニューバランス

自然な走りやすさが特徴で、低〜中ドロップが多め。
フルマラソン完走からエリートまで対応。
商品名 | ドロップ | 目標タイム |
---|---|---|
FuelCell SuperComp Elite v5 | 8mm | サブ2.5 |
FuelCell SuperComp Pacer v2 | 8mm | サブ3 |
FuelCell Rebel v5 | 6mm | サブ4 |
FuelCell Propel v5 | 6mm | サブ5 |
Fresh Foam X 860 v14 | 8mm | サブ5 |
Fresh Foam X 880 v15 | 6mm | サブ5 |
Fresh Foam X 1080 v14 | 6mm | 完走 |
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ホカ

ホカは4〜8mmの低ドロップ中心。
厚底+ロッカー構造により、スムーズな推進力が特徴。
商品名 | ドロップ | 目標タイム |
---|---|---|
ロケット X 3 | 7mm | サブ3 |
マッハ 6 | 5mm | サブ3.5〜4 |
リンコン 4 | 5mm | サブ4 |
クリフトン 10 | 8mm | サブ4 |
ボンダイ 9 | 5mm | サブ5~完走 |
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オン

オンは6〜8mmが中心。
軽快な履き心地とソールのクッション性で人気。
商品名 | ドロップ | 目標タイム |
---|---|---|
Cloudflow 5 | 6mm | サブ3.5~4 |
Cloudmonster 2 | 6mm | サブ3.5~4 |
Cloudstratus 3 | 6mm | サブ4~5 |
Cloudsurfer 2 | 8mm | サブ4~5 |
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ミズノ

ミズノは極端に低いドロップのモデルを展開。
独自の推進力と安定感で支持されています。
商品名 | ドロップ(mm) | 目標タイム |
---|---|---|
ウエーブリベリオンプロ3 | 4mm | サブ 2.5~3.0 |
ウエーブリベリオンプロ LOW | 4.5mm | サブ 2.5~3.0 |
ウエーブリベリオンフラッシュ3 | 3mm | サブ 3.0~4.0 |
ネオ ビスタ2 | 8mm | サブ 3.0~4.0 |
ネオ ゼン | 6mm | サブ 4.0~完走 |
ウエーブライダー29 | 10mm | サブ 4.5~完走 |
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ランニングシューズのドロップの選び方

ランニングシューズの「ドロップ」は、走りやすさや快適さに大きく関わる要素です。
ただし「◯mmが絶対おすすめ」とは言えません。
なぜなら、ある人にとって最適な10mmが、別の人には4mmの方が合うといったケースがあるからです。
走り方や体の使い方は人それぞれ異なるため、まずは試着して自分に合うシューズを見つけるのが一番です。
理想は、さまざまなドロップのシューズを履くこと

- 低ドロップ(0〜4mm)
自然な走りを促進し、足の筋肉を鍛えることができます。ただし筋力が十分でないと走りづらく感じるかもしれません。
- 高ドロップ(9mm以上)
体が自然に前へ倒れるため、余計な力を使わずに走れます。
ただし長期間使い続けると、足の動きに制限がかかりクセがつく可能性もあります。
こうした特徴があるので、一足に絞るより複数のドロップを使い分けるのがおすすめです。
例えば、初めてのシューズは「高ドロップ」、2足目は「中間ドロップ(5〜8mm)」、3足目以降で「低ドロップ」を試すと、バランスよく鍛えられます。
ローテーションを組むことで、足の筋肉を均等に使えるようになり、ケガの予防にもつながります。
筆者の体験
私自身は普段、5mm・6mm・8mm・12mmといった中間〜高ドロップを使い分けています。
8〜12mmは足が疲れているときのリカバリージョグに。余計な力をかけず楽に走れるからです。
5〜6mmはサポートが程よく効き、長い距離や時間を走るときに重宝しています。
それぞれに良さがあり、シーンに応じて選ぶのが理想です。
レースでは中間〜高ドロップがおすすめ

フルマラソンなど長時間のレースでは、中間〜高ドロップのシューズを履くのが一般的です。
特に30km以降の疲れが溜まる場面で、ドロップのサポートがあると最後まで一歩一歩を前に進めやすくなります。
ドロップに関する注意点

ソールが厚いからと言って、ドロップが強いわけではない
ここ数年で一気に定番となった「厚底シューズ」。
かかと部分が分厚いので、見た目だけで「ドロップが強そう(高低差が大きそう)」と感じる人も多いと思います。
- ドロップが強い:高低差が大きい(例:10mmなど)
- ドロップが弱い:高低差が小さい(例:4mmなど)
しかし実際には、「厚底=ドロップ強め」というわけではありません。
例えばホカの「ボンダイ 8」。分厚いソールが特徴ですが、ドロップはわずか4mmです。

つまり、厚底でも「低ドロップ」のシューズは存在するのです。
シューズを選ぶときは、見た目に惑わされず、商品ページのドロップ数を確認することが大切です。
低ドロップでも“転がるように進む”モデルがある
先ほど例に挙げたホカ「ボンダイ 8」は4mmドロップですが、実際に履いて走ると“前へ転がる”感覚があります。
これはホカ独自のテクノロジー 「メタロッカー」 によるものです。
下記はメタロッカーの説明です。
メタロッカーは、靴底にカーブを設けることで、着地を妨げないように設計されています。
まるで、足裏に車輪があるかのように、このカーブが人を前へ前へと導いてくれます。
また、すべての歩幅に適切なタイミングで推進力を与え、どんなペースでも常にスムーズな走りを実現します。
このように、「低ドロップ=推進力がない」ではないという点も覚えておきましょう。
ブランドやモデルによっては、低ドロップでも前へ転がる特性を持ったシューズがあるのです。
まとめ
今回はランニングシューズの「ドロップ」について解説しました。
改めておさらいすると、ドロップとはシューズのかかととつま先の高さの差であり、この数値が走りやすさや体への負担に大きく影響します。
- 低ドロップシューズ:自然な走り方を促し、足の筋肉を鍛える効果がある。ただし初心者には扱いにくい場合がある。
- 高ドロップシューズ:筋力が少なくても前へ進みやすく、初心者におすすめ。
購入するなら、まずは 「高ドロップ」からスタートし、その後「中間ドロップ」「低ドロップ」へと広げていくのがおすすめです。
そうすることで、足の筋力を段階的に鍛えながら、ケガのリスクも減らせます。
ただし、着地の仕方や体の特徴、これまでの運動経験によって合うモデルは人それぞれ異なります。
試着して自分に合うシューズを選ぶことが大切です。
下記は個人的に初心者におすすめしたいシューズです。
ナイキ ペガサス 41(10mmドロップ):
クッション性が高く、日常のランからフルマラソン完走まで幅広く対応
アシックス GEL-KAYANO 32(8mmドロップ):
安定感とサポート力に優れ、ケガ予防に強い
ミズノ ウエーブライダー29(10mmドロップ):
日本人ランナーにフィットしやすい安定感とクッション性
ドロップが強いシューズは、前へ進みやすく「走るのが楽しい」と感じやすいのが魅力です。
ぜひ自分に合う一足を見つけて、ランニングライフを楽しんでください。
本日は以上です。
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