マラソンで足がつるのはなぜ?原因・予防・つったときの対処法を徹底解説

フルマラソンを走るうえで、多くのランナーが一度は経験するのが「足つり」です。
特に30km以降の後半になると、突然筋肉が思うように動かなくなり、強い痛みを伴うことがあります。
これは、記録更新を目指す上級者にとっても、トレーニング不足の初心者にとっても、大きな壁となります。
では、なぜ足がつってしまうのでしょうか?その原因とは何か、そしてレース中に足つりを防ぐためには、どのような対策が必要なのでしょうか。
この記事では、足がつる原因と予防法、さらに万が一つってしまったときの対処法まで、詳しく解説します。
フルマラソンに挑戦する方はもちろん、20〜30km走などのロング走を行うトレーニング中にも役立つ内容となっています。
足がつる・けいれんが起こる原因

フルマラソン中に足がつる、けいれんが起こる主な原因は、以下の3つです。
- 水分・ミネラルの不足
- 筋肉の疲労
- 体の冷え
水分・ミネラルの不足

大量の汗をかくことで、体内のミネラルバランスが崩れ、筋肉の動きがうまくコントロールできなくなります。
これが足つりの大きな要因です。
汗の約99%は水分ですが、残り1%にはナトリウム、カリウム、カルシウム、鉄など、筋肉の働きに欠かせないミネラルが含まれています。
これらが不足すると、筋肉の「収縮」と「弛緩」のリズムが乱れ、つりやすくなります。
また、水分不足によって脱水状態になると、足のけいれんだけでなく、パフォーマンスそのものも大きく低下します。
特に高温多湿の日は発汗量が増えるため、
- こまめな水分補給
- エネルギージェルなどでのミネラル補給
- 無理のないペースでの走行
など、熱中症・脱水対策を徹底しましょう。
筋肉の疲労

長時間走ることで筋肉が疲労し、足がつりやすくなります。
これは特に、トレーニング不足やオーバーペースで走った場合に起こりやすいです。
私自身の経験でも、30km走までしか練習していない状態でフルマラソンに挑むと、30km以降で足がつりやすくなります。
これは、単純に筋肉がその距離に対応できていないためです。
また、普段は6:00/kmペースで走っているのに、レース本番で5:30/kmのペースで走ると、後半で一気に疲労が蓄積し、足がつってしまうリスクが高まります。
対策としては、
- 自分の実力に見合ったペースで走ること
- 練習で走ったことがないペースや距離を本番で無理に試さないこと
「練習でできないことは、本番でもできない」この意識が重要です。
体の冷え

気温の低い日や雨・風の影響で体が冷えると、筋肉が硬くなり、スムーズに動かなくなります。
その結果、足がつりやすくなることがあります。
特に冬場(12月〜3月)や悪天候の日は注意が必要です。
冷えを防ぐために
- レイヤーを増やして体を保温する
- ポンチョやカッパなどで風雨から身を守る
といった対策が効果的です。
実際、先日のフルマラソンでは、スタート時気温1℃ということでランナーの多くがポンチョを着用していました。

第16回いわきサンシャインマラソンの様子
ポンチョは濡れを防ぐだけでなく、冷たい風の侵入も防いでくれるため、持っておくと安心です。
レース中に足がつらないための対策

フルマラソン中の足つりを防ぐために、以下の対策を事前・当日に実施しておくと安心です。
- グリセリンローディングで脱水を防ぐ
- マッサージオイルで筋肉を整える
- サプリメントで神経と筋肉をサポート
- 新品に近いシューズを使う
- 練習以上のペースで走らない
- こまめな水分・ミネラル補給をする
- カーフスリーブ・着圧ソックスで筋肉を保護
対策① グリセリンローディングで脱水を防ぐ

レース中は大量の汗をかくため、脱水によって足がつるリスクが高まります。
そこでおすすめなのが「グリセリンローディング」です。
グリセリンを含む水分をレース前から摂取することで、体内の水分保持力が高まり、脱水を予防できます。
私自身もレース3日前から実践しています。
完全に防げるわけではありませんが、症状の緩和が期待できる対策です。
詳しくは、グリセリンローディングができる凌駕スマッシュウォーターとは?フルマラソン前におすすめの水分補給方法で解説しています。
対策② マッサージオイルで筋肉を整える

レース前日や当日にマッサージオイルを塗るのも効果的です。
たとえば「イナーメ・スポーツアロマ」は、足つりや筋肉痛の予防効果が期待できるオイル。
ふくらはぎや太ももにマッサージしながら塗ることで、筋肉を柔らかく保ちます。
詳しくは、【レビュー】イナーメ・スポーツアロマの性能とは?ランニング前後に塗るマッサージオイルの効果を検証してみたで解説しています。
対策③ サプリメントで神経と筋肉をサポート

レース当日は、足つり予防に特化したサプリの活用もおすすめです。
「カツサプ」は神経伝達の過剰を抑え、筋肉のけいれんを防ぐ効果があるとされます。
私もフルマラソンの朝に飲んでいます。
詳しくは、【実費レビュー】カツサプの効果や飲み方は?フルマラソン完走を目指す方におすすめのサプリメントですで解説しています。
対策④ 新品に近いシューズを使う

クッション性の落ちた古いシューズで長距離を走ると、筋肉疲労から足つりが起こりやすくなります。
- レース用のシューズは走行距離100〜150km未満を目安に
- レース2ヶ月前から履き慣らしておくのが理想
- 20km以上の試走を行い、痛みや違和感がないか確認しましょう
歩く予定の方はそこまで神経質にならなくてもOKですが、基本は性能の高い状態の靴を選ぶのがベターです。
【参考】私がレースに臨む際のシューズ管理
私は普段、トレーニング用とレース用のシューズを分けて使用しています。
レース用には、走行距離が100〜150km未満のシューズを選ぶようにしています。
↓ ガーミンやカロスのランニングウォッチなどを使えば、走行距離の管理も簡単にできます。


トレーニングでは2〜3足のローテーションでジョグ用を履きつつ、レース2ヶ月〜1.5ヶ月前から候補の1足を履き始め、足に馴染ませています。
気に入っているトレーニングシューズがある場合は、同じモデルをもう一足(新品)購入し、レース用にすることもあります。
関連記事:【実費レビュー】ガーミン「Forerunner 265」の性能とは!AMOLEDディスプレイ搭載のランニングウォッチ
関連記事:【実費レビュー】COROS PACE 3の性能とは?38時間のロングバッテリーと30gの重量が特徴の初心者向けランニングウォッチ
対策⑤ 練習以上のペースで走らない
調子が良くても、普段以上のペースで走るのはNGです。
本番は沿道の声援もあり、つい飛ばしすぎてしまいがちですが、それが後半の足つりに直結します。
普段6:00/kmペースで走っているなら、5:45/kmまでに抑えるようにしましょう。
関連記事:マラソンのペース配分の目安!最高のレースを実現するためのレース戦略とは
レース当日はペースメーカーを活用しよう

マラソン大会では、目標タイムに合わせて一定のペースで走ってくれる「ペースメーカー(ペースランナー/ペーサー)」が設定されていることがあります。
彼らの後ろについて走ることで、オーバーペースを防ぎ、足がつるリスクを軽減することができます。
特に、
- 一人でペースを管理するのが苦手な方
- 目標タイムでの完走を狙っている方
にはとても心強い存在です。
大会によっては、ペースメーカーが風船やベストなどでわかりやすく表示されていることも多いので、スタート前に見つけておくと安心です。
詳しくは、マラソンのペースメーカーとは!ペーサーを利用するメリットと注意点で解説しています。
対策⑥ こまめな水分・ミネラル補給をする


フルマラソンでは、コース上に1〜3km間隔で給水所が設置されています。
基本的にはすべての給水所で水分補給を行う意識を持ちましょう。
目安としては、
- 15分に1回、150ml程度の補給
- 1km6分ペースで走る場合 → 約2kmごとに給水のタイミング
このように、こまめな補給を行うことで「脱水状態」を防げます。
また、水分補給は水とスポーツドリンクをバランスよく摂るのがおすすめです。
- 水 → シンプルな水分補給に
- スポーツドリンク → ミネラル(ナトリウム等)と糖質を同時に補給でき、長時間の運動に最適
詳しくは、マラソンの給水はどうする?給水所の間隔や水分補給のコツを徹底解説で解説しています。
関連記事:マラソンのエイドステーションとは?初心者向けに補給内容・使い方を徹底解説
ミネラル補給はエネルギージェルで手軽に

レース中は汗とともにミネラル(ナトリウム・カリウム・マグネシウムなど)が失われます。
これが足つりの大きな原因となるため、ミネラル補給は必須です。
手軽にミネラルが摂れるアイテムがエネルギージェルです。
私が、(レース中に)毎回、携帯しているジェルは、「Mag-onエナジージェル」と「メダリスト 塩ジェル」です。


どちらも足つり予防成分を配合しており、多くのランナーに人気です。
味のバリエーションも豊富で、レース中でも飲みやすいのが特徴です。
その他にも、足つり予防できるエネルギージェルはあるため、詳しくはフルマラソンにおすすめの補給食15選【サブ3.5、サブ4、サブ5向け】をご覧ください。
対策⑦ カーフスリーブ・着圧ソックスで筋肉を保護


カーフスリーブは、ふくらはぎに着用するサポートアイテムで、伸縮性のある生地が脚にしっかりフィットします。
着用することで次のような効果が期待できます。
- 筋肉の揺れを抑え、疲労を軽減
- 筋肉の収縮・弛緩をサポートし、足つりを予防
- ふくらはぎの露出を防ぎ、体温低下の予防にも◎
寒い日のマラソンでは、体が冷えることで足がつりやすくなるため、防寒対策としても有効です。
同様に、着圧ソックスにも筋肉サポートや保温効果があるため、状況に応じて使い分けるのがおすすめです。
詳しくは、ランニングにおすすめのカーフスリーブ(ゲイター)6選|着用する効果や選び方は?で解説しています。
レース中に足がつってしまったら…

ここまで紹介してきた対策をしていても、フルマラソンでは足がつってしまうこともあります。
では、実際に足がつってしまったときは、どう対処すればよいのでしょうか。
以下は、私自身がレース中に実際に行っている対応手順です。
【対処法①】立ち止まってストレッチを行う
足がつってしまった、あるいは「つりそうだな」と感じたら、まずは無理せず立ち止まりましょう。
- つっている箇所を手でやさしくマッサージする
- 筋肉をゆっくりと伸ばすストレッチを行う
これだけでも、痛みが軽減され、再び動けるようになることがあります。
各部位のストレッチ方法については、ランニング前のウォームアップのやり方!トップランナーの手順から最適な準備方法を学ぼうで紹介しています。
無理に再スタートせず、痛みや違和感がなくなるまで待つことが大切です。
再び歩けそう・走れそうになったら、ペースを落として再開しましょう。
経験上、一度足がつると、その後も再発する可能性が高くなります。そのため、無理にタイムを狙おうとせず、「完走」を最優先に考えるのが得策です。「今日はそういう日だった」と割り切り、安全にフィニッシュを目指しましょう。
【対処法②】ゆっくり走る or 歩く
足がつりそうな感覚があったり、実際につってしまった場合は、無理にペースを維持しようとせず、スピードを落として走るか、歩くことを選びましょう。
- ゆっくり走ることで、筋肉への負担が軽減され、再び走れることもあります
- 状況によっては、無理せず歩いたほうが安全です
また、このタイミングでは、筋肉疲労だけでなく、水分・ミネラル不足も原因として考えられます。
そのため、以下のような補給を意識しましょう。
- 給水所でしっかりと水分・スポーツドリンクを摂る
- エネルギージェルなどでミネラル(ナトリウム・カリウム・マグネシウム)を補う
「ペースを落とす=悪」ではありません。
完走するためには、その場のコンディションに応じて柔軟に対応することが重要です。
【対処法③】歩くことも難しければ、無理せず途中棄権を
残り15km、10km、あるいは5km。
その距離を歩いてでもゴールできれば良いですが、明らかに無理そうな場合は、無理をせず途中棄権(リタイア)する判断も大切です。
途中棄権する際は、必ず近くのスタッフに声をかけ、「棄権します」と伝えましょう。
その後、スタッフの指示に従い、大会側が用意している収容バスや収容車でフィニッシュ地点まで戻る形になります。
完走率100%の大会は存在しません。
レースを途中で終えるランナーも一定数おり、それは決して恥ずかしいことではありません。
「棄権=失敗」ではなく、「次に向けた大事な判断」と捉えましょう。
詳しくは、マラソン途中棄権(DNF)とは?リタイアの原因と立ち直るための5つのステップで解説しています。
まとめ
今回は、フルマラソン中に足がつる原因と、その予防・対策について解説しました。
改めて、足がつる主な原因は以下の3つです。
- 水分・ミネラルの不足
- 筋肉の疲労
- 体の冷え
- こまめな水分・ミネラル補給で、脱水やミネラルバランスの崩れを防ぐ
- 自分に合ったペースを維持し、筋肉疲労を最小限に抑える
- 寒い日や雨の日は防寒対策を忘れずにし、体の冷えによる足つりを予防する
足がつるトラブルは誰にでも起こり得ますが、しっかりと準備・対策をしておくことで、大きくリスクを減らすことができます。
ぜひ今回の内容を参考に、フルマラソン完走を目指して、万全の状態でレースを楽しんできてください!
本日は以上です。
関連記事:フルマラソン当日の過ごし方・1日の流れは?起床時間や朝食など
関連記事:フルマラソン初心者向け持ち物リスト【完走経験者がおすすめする必需品は?】
【要チェック】フルマラソン完走ロードマップ

フルマラソン出場までの流れをまとめました。
初めてフルマラソン出場する方を対象に、下記の内容が分かります。
マラソン大会の選び方
購入すべきランニンググッズ
完走するためのトレーニング方法
レース前日や当日の過ごし方
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