ランニング初心者が知っておくべき心拍数に基づくトレーニング方法

yusuke saito

ランニングを始める際は、自分の心拍数※を把握することが重要です。

※一定の時間内に心臓が拍動する回数のこと

というのも、心拍数は運動強度の指標となり、自分にとって最適なトレーニングメニューを組むのに役立ちます。

そこで、今回はランニング初心者が知っておくべき心拍数に基づくトレーニング方法を紹介します。

自分に合った運動強度を知ることが大事

運動強度とは、その運動をするのにあたり、あなた自身の身体にかかる負荷のことを言います。

ランニングでは「走るスピード・時間」により運動強度が変わり、ゆっくり走る際は強度は低く、スピードを出して走る際は強度は高くなります。

ここで、運動強度の表し方を2つ紹介します。

  • 絶対強度
  • 相対強度

絶対強度

絶対強度は、誰にとっても同じ尺度であることを言います。

例えば、「1km5:00/kmペース(サブ3.5ペース)」で走るといったように、”走行ペース”が挙げられます。

初心者ランナーの多くはランニング雑誌や本、ネットの情報を頼りに、走行距離やペースを設定してランニングをすると思います。

ですが、雑誌や本のトレーニングメニューは、あなたの走力を考慮していません。

そのため、例えば「1km5:00/kmペース」はオリンピックに出場するほどのトップランナーにとってはラクに感じますが、ランニングを始めて1週間のランナーにとってはツラく感じるでしょう。

このように、絶対強度は自身の走力レベルによって運動強度(身体にかかる負荷)が変わってくるため、参考にする際は注意が必要です。

相対強度

一方、相対強度は、その人が持つ「最大能力の〇%」という表現のことを言います。

人間は個人差が大きく、「年齢」、「性別」、「過去現在の運動能力」、「生まれ持った身体能力」など個々によって異なります。

そのため、トレーニングする際は絶対強度ではなく、相対強度でトレーニングメニューを決めるのが重要です。

ランニングにおいての最大能力(最大能力の〇%)は、「心拍数」を基準にするのが最適と言われています。

そのため、「心拍数の〇%」といったように、自身の心拍数をもとにトレーニングしましょう。

心拍ゾーンとは

前述の「相対強度」で解説したとおり、心拍数をもとにトレーニングメニューを組み立てるのが最適です。

ここで、参考にしたいのが「心拍ゾーン」です。

心拍ゾーンとは心拍数ごとに運動強度の段階を区分けしたもので、自身の最大心拍数(100%)に対し、どのくらいの割合の運動強度であるかを判断する指標です。

心拍ゾーンは一般的に5つに分けられます。

心拍ゾーン最大心拍数の%ゾーン
590〜100%無酸素ゾーン:酸素代謝を主なエネルギー源とするため、長時間行うことはできないが、耐乳酸能力と最大酸素摂取量を高めることができる
480〜90%マラソンペースゾーン:マラソンの際の目安となる心拍数
370〜80%有酸素ゾーン:中程度のトレーニング能力と効率を上げ、身体能力を高める基礎トレーニングに、最も適したペース
260〜70%脂肪燃焼ゾーン:快適で会話ができるペースで、脂肪燃焼率が最高の心拍ゾーン
150〜60%ウォーミングアップゾーン:リラックスしたペースでの、運動前のウォーミングアップと、体力回復のゾーン
Running Magazine Courir 2022.Apr.より引用

(上記、表のとおり)心拍ゾーンの数字が大きいほど運動強度が高く、小さいほど強度が低くなります。

例えば、最も低い心拍ゾーン(50-60%)は、軽い運動強度を示し、一般的には運動前後のウォームアップやリカバリーが挙げられます。

一方、80-90%の心拍ゾーンはマラソンのレースペースの目安となる心拍数のため、レースに出場する際の参考になります。

このように、自身の心拍ゾーンに合わせて※トレーニングを行うことで、心肺機能の向上やオーバートレーニングの予防、ケガのリスク軽減に有効です。

※自身の最大心拍数を測る必要がある(測り方は後述する)

関連記事:ランニング前のウォームアップのやり方!トップランナーの手順から最適な準備方法を学ぼう

それぞれの心拍ゾーンとトレーニング効果

マラソンを完走するには、「スピード」「スピード持久力」「スタミナ(持久力)」、この3つの能力をまんべんなく鍛える必要があります。

  • スピードとは、短い距離を速く走る能力
  • スピード持久力とは、より速いペースを、より長く持続させる能力
  • スタミナ(持久力)とは、より長い距離・時間を、無理なくラクに走り続ける能力

上記の3つの能力を、先程の心拍ゾーンに当てはめると、下記のようになります。

心拍ゾーン最大心拍数の%体感効果
590〜100%非常にきついスピードの向上
480〜90%ややきつい高質のスピード持久力の向上
速く走るための筋持久力の向上
370〜80%やや楽スピード持久力の向上
スタミナの向上
260〜70%スタミナの向上
長く走るための筋持久力の向上
150〜60%非常に楽スタミナの向上
健康の維持・向上
Running Magazine Courir 2022.Apr.より引用

スピードを鍛える

スピードは心拍ゾーン5、最大心拍数90〜100%に該当します。

主に、インターバル走レベティションなど、スピード練習が該当します。

マラソンのレースペースを余裕持って走れるようになる(身体に余裕度をもたせる)ためのトレーニングになります。

スピード持久力を鍛える

スピード持久力は心拍ゾーン3〜4、最大心拍数70〜90%に該当します。

主に、20〜30kmのロング走やペース走などが該当します。

マラソンのレースペースで、長距離・長時間走行できるようになるためのトレーニングになります。

スタミナを鍛える

スタミナは心拍ゾーン1〜2、最大心拍数50〜70%に該当します。

主に、ジョギングLSDマラニックなどが該当します。

より長距離・長時間走行できるようになるためのトレーニングになります。

このように心拍ゾーンを知ることで、トレーニングの強度を正確に把握し、目標に対する効果を最大化することが可能です。

最大心拍数を出現させる方法

続いて、最大心拍数の測り方を紹介します。

最大心拍数とは、全力で走った際の心拍数の最大値です。

年齢から推算する計算式が一般的で、「220 – 年齢」で求められます。

例えば、32歳であれば、188(220 – 32)が最大心拍数となります。

下記が、最大心拍数188の場合の心拍ゾーンです。

心拍ゾーン最大心拍数の%心拍数
※最大心拍数188の場合
590〜100%169〜188
480〜90%150〜169
370〜80%131〜150
260〜70%112〜131
150〜60%94〜112

ただし、年齢が同じ人が全員、同じ最大心拍数になるとは限らず、その人の「過去現在の運動能力」、「生まれ持った身体能力」により変化します。

そのため、一つの目安として推算しましょう。

では、より正確に測定するには、どうすればいいのか。

本格的にランニングをしている人であれば、一度は読んだことある「ダニエルズのランニング・フォーミュラ」によると、下記の測定方法がおすすめされています。

最大心拍数を出現させる方法
  • 坂道ダッシュ
  • 800m走

坂道ダッシュ

2分間のハードな坂道走を何本か繰り返し走ります。

下記の手順で行いましょう。

1本目

全力で駆け上がり、すぐに心拍数を測ります。

2本目

2本目も同様、全力で駆け上がり、1本目より心拍数が高ければ、3本目を走ります。

1本目より低ければ、1本目の値が最大心拍数です。

3本目

1〜2本目同様、全力で駆け上がり、2本目より心拍数が高ければ、4本目を走ります。

2本目より心拍数が低ければ、その値が最大心拍数です。

このように、前回よりも心拍数が上がらなくなるまで繰り返しましょう。

800m走

2分も駆け上がる坂道がない場合は、800m走(平坦な道でOK)を行いましょう。

坂道ダッシュ同様、800mを全力で走り、前の1本と心拍数を比較しましょう。

「全力で走る」ということは足や心臓への負担も、それだけ大きいということです。特に、心臓の動きが弱い早朝や体調が悪い日は注意が必要です。また、筋肉が硬くなりやすい冬場はケガしやすいため注意しましょう

心拍数の測定はランニングウォッチがおすすめ

最大心拍数の測定は2パターンあります。

最大心拍数の測定方法
  • 手首から心拍数を測る
  • ランニングウォッチを用いて心拍数を測る

手首から心拍数を測る

心拍数を測る、一番シンプルな方法は、自身で脈を数えることです。

手首や首にある脈を数えることで、心拍数を直接計算できます。

(前述の通り、)坂道ダッシュや800m走の直後に、脈拍をチェックします。

鍋倉賢治著「マラソンランナーへの道」では、下記の計算式が紹介されていました。

全力で走ったあと、時間が経過するに従い、脈拍は低下し、脈拍を計測している間も脈は減り続けます。

そのため、10秒間脈を測ったものを6倍し、その値に10を加えます。

下記が、計算式です。

10秒間の脈拍数 × 6 + 10

例えば、(10秒間で)30回脈が拍動したなら、30 × 6 + 10 = 190

この場合、最大心拍数は190となります。

この方法は、ランニングウォッチを持っていなくても測ることができます。

ただし、ゼーゼーハーハーと息が上がっている状態、かつ自分で脈を測るため、一定の練習が必要でしょう。

ランニングウォッチを用いて心拍数を測る

着用アイテム:ガーミン Forerunner 255 Music

より正確に、かつ簡単に測るなら、ランニングウォッチがおすすめです。

心拍測定機能が搭載されているモデルであれば、腕に装着するだけで、リアルタイムで心拍数を追跡し、データを記録することが可能です。

走行中の心拍数の変動を記録したデータ
上記の最大心拍数202を記録した際の心拍ゾーン

上記のように、「平均心拍数」、「最大心拍数」を自動で記録してくれます。

また、(GPS付きであれば)同時に走行距離やペースを測定できるため、(前述の)800mも簡単に測ることができます。

おすすめのウォッチは、【2024年】初心者におすすめランニングウォッチ15選!人気ブランドと選び方を紹介で解説しています。

最大心拍数を測る際の注意点と最適な測定時期

続いて、最大心拍数を測る際は、下記の点に注意しましょう。

体調や環境により心拍数は変化する

心拍数は、体調や環境などにより変化します。

「疲れ」「発熱」「ストレス」「寝不足」など”負”の状態のときは、心拍数は高くなりやすいです。

また、冬場より夏場のほうが心拍数は高くなりやすいです。

それは体温に関係しており、体温が1℃上がれば脈拍は8〜10拍/分増加します。

気温が高い夏場は、冬場より(自身の)体温が高く、正確な数値が測れない可能性があるため、注意しましょう。

確かに、自身の経験でも、7〜8月の暑い日は足取りが重く、(1年の中で最も)パフォーマンスが落ちる印象です。

最適な測定時期は寒い日

2012年「環境パラメータがマラソンのランニングパフォーマンスに与える影響」というテーマで論文が発表されました。

内容は、2001〜2010年までの10年間、パリ、ロンドン、ベルリン、ボストン、シカゴ、ニューヨークの計6大会に出場した、約180万人の参加者を対象に、高いパフォーマンスを発揮できる”環境要因”を調査したものです。

環境要因は「温度」「湿度」「露点温度」「気圧」などの項目で、結果は”温度”がもっとも影響の大きい環境要因であったと結論づけました。

具体的には、「マラソンに最適な温度は6-8℃で、この気温の日は高いパフォーマンスを発揮できる※」いう結果となりました。

※もっとも記録が出やすい

逆に、温度が上がると、パフォーマンスが低下する(タイムが遅くなる)という結果も出ています。

そのため、体調が万全な状態、かつ気温が6-8℃の日に最大心拍数を測ると、より正確な数値が取れるでしょう。

上記の最大心拍数202を記録した日は、3月1日午前9時と、比較的涼しい時期のため、上記の調査結果は納得です

なぜ、心拍数に基づくトレーニングが効果的なのか?

ここまで心拍数が運動強度の指標になると解説しましたが、具体的に「どのような効果があるのか」お伝えします。

心拍数に基づくトレーニングの効果
  • オーバートレーニングを防げる
  • ケガを防げる
  • 練習の目的が明確になる
  • 心拍数の数値が下がると自信に繋がる

オーバートレーニングを防げる

心拍数に基づくトレーニングは、あなたの走力に合わせて調整できるため、オーバートレーニングを防げます。

例えば、Aさんが、サブ3.5(レースペース 4:58/km)を目標にトレーニングをしているとします。

(Aさんの最大心拍数は”188”とする)

最大心拍数は”188”のときのAさんの心拍ゾーンは、下記のようになります。

心拍ゾーン最大心拍数の%心拍数
※最大心拍数188の場合
590〜100%169〜188
480〜90%150〜169
370〜80%131〜150
260〜70%112〜131
150〜60%94〜112

試しに、レースペース(4:58/km)で10km走ろうとしましたが、2km通過時点での心拍数は185でした。

(前述の通り、)マラソンのレースペースの目安は「心拍ゾーン4」と、Aさんの場合、心拍数150〜169となります。

ということは、(Aさんは)現時点では、サブ3.5で走れるだけの”走力”が身に付いていないことにより、心拍数が増加していることが分かります。

このように、心拍数を考慮すると、現在の走力から適切なペースが分かるため、あなたに合ったトレーニング計画を作成するのに役立ちます。

Aさんの現地点でのレースペースが知りたい場合は、「心拍数が150〜169※の間でキープされるときのペース」がレースペースになります。

※最大心拍数188の場合

ケガを防げる

身体の疲労具合は、起床時の心拍数から確認できます。

前述のとおり、「疲れ」「発熱」「ストレス」「寝不足」など身体が疲れているときは、心拍数は高くなりやすいです。

そのため、日々の心拍数を継続的に測り、「(起床時、)いつもより心拍数が10高いな!」となれば、疲労が溜まっている(疲労回復できていない)と判断できます。

そんなときは

  • 予定していた練習メニューの強度を下げる(60分 → 30分ジョグに変更)
  • オフ日に変更し、身体を休める

といったように、練習メニューを変更したり、疲労回復に努める日にするなど、その日の体調に合わせてスケジュールを組むことが重要です。

疲労回復していない状態でランニングをすると、ケガをし、そのケガから別の箇所の故障を引き起こすなど、”負の連鎖”を引き起こしかねません。

ケガを未然に防ぐ意味でも「心拍数は疲労度を知る」良い指標なります。

練習の目的が明確になる

心拍ゾーンで、練習の目的が明確になります。

例えば、Aさんが「スピード持久力」を鍛えようと、心拍ゾーン3〜4(心拍数※131〜169)の間で、10km走を行うとします。

(Aさんの最大心拍数は”188”とする)

心拍ゾーン最大心拍数の%心拍数
※最大心拍数188の場合
590〜100%169〜188
480〜90%150〜169
370〜80%131〜150
260〜70%112〜131
150〜60%94〜112

しかし、走っている最中に気分が高まり、どんどんペースを上げ、気づいたら、心拍数が185まで上がっていたとしましょう。

心拍数185は上記の表から「心拍ゾーン5」にあたり、スピード練習の強度です。

本来、「スピード持久力を鍛えよう」と取り組んでいた練習が、「スピードを鍛える」に変わってしまっては、本来の練習の目的が変わってしまいます。

このように、心拍ゾーンは本来の練習の目的が明確になる、良い指標です。

トレーニング中は定期的に心拍数を確認し、目的の心拍ゾーンを維持できているか確認しましょう

ジョギングやLSDのペースも心拍数から確認しよう

ジョギングやLSDは、一般的に「他の人と走りながらでもラクラク会話ができるほどのペース」で走ることを言います。

ただ、「他の人と会話ができるペース」といっても、人それぞれペースが異なります。

そんなときは、自身の心拍ゾーンを確認すると良いでしょう。

ジョギングやLSDは「心拍ゾーン2」の強度に該当します。

心拍ゾーン最大心拍数の%ゾーン
590〜100%無酸素ゾーン:酸素代謝を主なエネルギー源とするため、長時間行うことはできないが、耐乳酸能力と最大酸素摂取量を高めることができる
480〜90%マラソンペースゾーン:マラソンの際の目安となる心拍数
370〜80%有酸素ゾーン:中程度のトレーニング能力と効率を上げ、身体能力を高める基礎トレーニングに、最も適したペース
260〜70%脂肪燃焼ゾーン:快適で会話ができるペースで、脂肪燃焼率が最高の心拍ゾーン
150〜60%ウォーミングアップゾーン:リラックスしたペースでの、運動前のウォーミングアップと、体力回復のゾーン
Running Magazine Courir 2022.Apr.より引用

先程のAさんの最大心拍数188の場合の心拍ゾーンは、下記のとおりです。

心拍ゾーン最大心拍数の%心拍数
※最大心拍数188の場合
590〜100%169〜188
480〜90%150〜169
370〜80%131〜150
260〜70%112〜131
150〜60%94〜112

この場合、「心拍ゾーン2」の心拍数は112〜131なので、(ジョギングやLSDは)この心拍数を維持できるペースで走行すると良いでしょう。

関連記事:初心者向けジョギングの始め方と効果的なトレーニングメニュー

関連記事:マラニックの楽しみ方!持ち物やおすすめコース紹介

心拍数の数値が下がると自信に繋がる

ランニング中、人間は呼吸をして体内に酸素を取り入れ、肺で(酸素を)血液に溶け込ませ、心臓がポンプのように収縮と拡張をくり返す※ことで全身に送ります。

※拍動

そして、人間は、「糖」や「脂肪」を材料として、(体内に取り入れた)”酸素”を使うことでエネルギーを生み出します。

そのため、体内に取り込める酸素の量が多ければ多いほど、たくさんのエネルギーを作り出すことができます。

結果、より速く、より長い時間走ることができるのです。

ランナーは運動を継続することで、次第に心臓の容量が大きくなり、1回の拍動で血液をより多く送り出すことができるようになり、少ない拍動でも全身に十分な酸素を運ぶことが可能になります。

例えば、下記のように過去と同じペースで走った場合、(過去より運動能力が向上することで、)心拍数が低下していきます。

ランニング始めて1週間目

・走行距離:5km
・ペース:6:00/km
・平均心拍数:160

ランニング始めて2ヶ月目

・走行距離:5km
・ペース:6:00/km
・平均心拍数:150

「心拍数が低下する = 少ないエネルギー(消費量)で走ることができた」ことになるため、有酸素能力が向上していることになります。

下記は私が過去に走った、走行ペースが近しいものを比較したデータです。

2019年のデータ
2022年のデータ
心拍ゾーンの比較
2019年9月2022年9月
距離15.01km20.01km
平均ペース5:04 /km5:02 /km
平均心拍数170152
最大心拍数187170
感想心拍ゾーン5に突入しており、スピード練習に近い強度で走っていたことが分かる心拍ゾーン3〜4と、マラソントレーニングに最適なペースで走れていることが分かる。身体への負荷も少ない。

ご覧のように、2019年、2022年の平均ペースは(ほとんど)同じですが、「平均心拍数」「最大心拍数」ともに、2022年のほうが低いです。

このように、同じ練習(走行ペースが同じ)でも心拍数が下がっていると、「力がついてきているな」と自信に繋がります。

定期的に過去のトレーニング時の心拍数を振り返り、どのくらい変化しているのか確認しましょう

[参考] トップランナーのレース時の心拍数は?

「Running Magazine Courir」にて、佐藤光子氏の大阪国際女子マラソン時の心拍数のデータが記載されていました。

  • 大会:大阪国際女子マラソン
  • タイム:2時間51分11秒(4分03秒/kmペース)
  • 平均心拍数:159
  • 最大心拍数:167

このように、フルマラソン3時間を切るペースで走っていても、平均心拍数は159という数値になります。

ちなみに、参考までに、私の「1km4分ペース」で走った際の心拍数を紹介します。

下記のとおり、私の場合は「1km4分で走る = 全力で走る」ことに等しいため、心拍数は200を超えています。

このように、わたしの走力では4:00/kmペースでは心拍ゾーン5に値しますが、トップランナーの方は心拍ゾーン3〜4をキープできていることが分かります。

改めて、トップランナーの心臓の強さには、驚かされます。

心拍数を利用したトレーニング例

トレーニングメニューを決める際は、ランニング雑誌や本で紹介されていたメニューをもとに組み立てます。

たいてい、目安のペースも記載されているため、ココ(目安のペース)をあなたの心拍ゾーンに置き換えましょう。

例えば、あなたの最大心拍数を187とし、ランニング雑誌や本で紹介されていたトレーニングメニュー例に当てはめます。

心拍ゾーントレーニングメニュー心拍ゾーン目安心拍数
※最大心拍数188の場合
月曜休養
火曜休養
水曜8〜10kmジョグ2〜3112〜150
木曜休養
金曜軽いジョグ2112〜131
土曜1km×5本インターバル5169〜188
日曜90〜120分LSD2112〜131

例えば、日曜日のLSDのペースを「心拍ゾーン3」のペースで行っては、トレーニングの効果を最大限、発揮できません。

また、水曜日の8〜10kmのジョグは有酸素能力を向上させる目的なので、「心拍ゾーン4」のレースペースで走ると、同様にトレーニングの効果を発揮できません。

このように、心拍ゾーンに合ったペースに変更することで、あなたに合った適切な運動強度で取り組めます。

(トレーニングメニューを参考にする際、)サブ4のレースペースがあなたの心拍ゾーン4と同等であれば、そのまま同じペースで取り組めばOKです。

ですが、レースペースが心拍ゾーン5になる場合はオーバートレーニングなため、「サブ4 → サブ5にレースペースを落とす」など、強度を下げましょう。

レース中も心拍ゾーンを確認しよう

運動強度が高いと、パフォーマンスは低下する

心拍数は運動強度を知る指標とお伝えしましたが、「マラソン成功」の鍵を握ります。

心拍数は身体がどれだけのエネルギーを消費しているかを示し、それは運動の強度と直接相関します。

運動強度が高ければ(心拍ゾーン5で走る)、それだけ身体に負荷がかかっていることなので、パフォーマンスは低下します。

例えば、

  • 自分より速いランナーに付いていこうと、ペースを上げる
  • 集団のペースの上げ下げに、無理に付いていってしまう

など、心拍数が急激に上昇したり、心拍数の上げ下げが激しいときなどです。

上記のレース展開では、「心拍数の変動が激しい = 身体に負荷がかかりすぎている」ので、辞めましょう。

心拍数を一定に保とう

では、どのようなレース展開が理想なのか。

理想は、心拍数を一定に保つことです。

自分の心地よいペースで進むことで、無駄なエネルギーを消費せず、より効率的に走ることができます。

レース中は5km間隔で心拍数を確認し、心拍ゾーン4(最大心拍数80〜90%)をキープできているか確認しましょう。

また、一定のリズムで走るには「ペース走」と呼ばれるトレーニングメニューで鍛えられます。

関連記事:ペース走の設定ペースと効果は?マラソン完走に向けペース感覚を身に付けよう

まとめ

今回は、ランニング初心者が知っておくべき心拍数に基づくトレーニング方法を紹介しました。

改めて、心拍数は運動強度の指標となるため、自分の心拍ゾーンにあったトレーニングメニューを組むことが重要です。

心拍数はランニングウォッチで測定するのがおすすめです。

リアルタイムで走行距離やペースが測定できるだけでなく、心拍測定もできるため、トレーニングやレース時に活躍します。

また、ランニングウォッチを装着した日から1ヶ月後、半年後、1年後と、自分の成長が記録されるため、心拍数の変化などを確認するのに役立ちます。

ぜひ、心拍ゾーンから自分に合ったトレーニングを行い、フルマラソンを完走する”走力”を身につけましょう。

本日は以上です。

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【要チェック】フルマラソン完走ロードマップ

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Yusuke Saito
Yusuke Saito
マラソンランナー
初心者のためのマラソンブログ「31らん(さいらん)」運営者。2018年6月にランニングを始め、年間2,500km走ってます。これまでの記録は、【フルマラソン】 4:06:27(第32回ぐんまマラソン) 【ハーフマラソン】 1:46:18(第39回フロストバイトロードレース)【10キロ】42:47 【5キロ】19:08 【1キロ】3:17 マラソン大会に向けた流れやトレーニング方法、ランニンググッズを紹介していきます。
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