フルマラソンやハーフマラソンのレース中に音楽を聴くことはできる?
初めてフルマラソンに出場する場合、「レース中も音楽を聴くことができるのか」迷いますよね。
結論から言うと、『イヤホン装着は禁止ではありませんが、推奨していない』です。
日本陸上競技連盟によってルールが定められていますが、イヤホンを装着すると周りの音が遮断され、安全に走行できないため、推奨されていません。
ですが、禁止されていないので、イヤホンを装着しているランナーがいるのが実状です。
個人的には、「小さい音で聴く」、もしくは「オープンイヤー型のイヤホンを使用する」など、周囲の音が聞こえる状態であれば音楽を聴くのは良いと思っています。
そこで、今回はレース中に音楽を聴くことはできるのか、詳しくみていきます。
主要大会の競技規約やレース中音楽を聴くメリット、聴かないメリットを解説します。
レース時のルール
大会によって異なりますが、一般的には「2023年度日本陸上競技連盟競技規則に準じる」という記載がされています。
「日本陸上競技連盟競技規則」で、イヤホンに関する記載は、下記の文章になります。
エリートランナーやその他のカテゴリーで出場する競技者が完全閉鎖されたコースで走っている時にはヘッドまたはイヤホンを使用することを許可するにしても、交通規制が解除された後は、走るスピードが遅いランナーに対しては使用を禁止する(少なくとも推奨しない)。
「完全閉鎖されたコースではイヤホンの使用が許可され、交通規制が解除された後は使用を禁止する」と記載されていますが、多くの大会では交通規制が入る※ため、イヤホンの着用は禁止ではなさそうです。
※公道で行われる場合
ですが、中には、片側一車線で、片側車線のみ通行止め(ランナーが走る場所のみ)で、反対車線ではバンバン車が通っている場合もあります。
イヤホンを装着していると、後ろから迫ってくるランナーに気づかずに(あなたが)走路変更を行い、追い抜かすランナーが避けようと反対車線に飛び出すことになることも・・・。
安全走行を考えると、競技規則に記載されているように、「イヤホンの装着は推奨できない」のが現状です。
イヤホン・音楽に関する記述は、各大会HPの”競技規約”を確認しましょう。
一部の大会で制限されている場合も
ランナーは大会に出場する以上、大会関係者の指示や緊急車両に耳を傾ける必要があります。
過去、「青島太平洋マラソン2018」にて、心肺停止事例が発生した際、イヤホン装着ランナーが後方から駆け付ける救護班の声に気付きにくいという事例があり、そこから本大会では「イヤホン片側装着」という条件が付いています。
それに際して、一部の大会では「イヤホンの装着は片耳のみOK」、もしくは「スタッフの指示が聞こえる音量」と公式HPに記載されている大会もあります。
なので、周りの音が聞こえるよう、音量を十分に小さくした上で「片耳のみ」、もしくは「耳を塞がないオープンイヤー型のイヤホン」を装着しましょう。
主要大会の競技規約
参考までに、イヤホンの記載のあった大会を紹介します。
- 北海道マラソン2023:ヘッドフォンやイヤフォンを着けて走行する場合は他の競技者の妨げにならないよう、十分注意してください。
- 富山マラソン2023:他の参加ランナーや応援者を不快にさせたり、危険な行為であると審判員が判断した場合、競技中止を指示することがあります。
- 岡山マラソン2023:他の参加ランナーや応援者を不快にさせたり、危険な行為であると審判員が判断した場合、競技中止を指示することがあります。また、両耳をふさぐイヤホンを付けての走行は危険ですので、ご遠慮ください。
- 青島太平洋マラソン2023:イヤホンの装着はOKです。但し、2018年大会で心肺停止事例が発生した際、イヤホン装着ランナーが後方から駆け付ける救護班の声に気付きにくいという状況がありました。そこで青島太平洋マラソンは「イヤホン片側装着」をお願いすることとしました。
イヤホン装着に関する直接的な記載がない大会に関しては、大会の運営事務局に直接確認しましょう。
レース時に音楽を聴く?
株式会社アールビーズが実施した「ランナー世論調査2016」の調査によると、「レースでの走行時に音楽を聴きますか?」という質問では、約30%が「毎回聴く」、約8%が「時々聴く」と回答。
一方、約40%が「全く聴かない」と回答しており、「聴く(時々聴く含め):約38%」「聴かない:40%」と、半々の結果となりました。
(2016年と古いデータになりますが、)現在は、”音質”や”防水性能”、”バッテリー稼働時間”など当時のイヤホンより進化しています。
また、サブスク音楽配信サービスの普及により、気軽に音楽が聴ける時代になりました。
このことから、今現在、(アンケートを集計した2016年と比較して、)レース中に音楽を聴く割合は多いと思います。
実際、私がレースに出場したランナーを見ても、イヤホンを装着した方は多かった印象です。
レース中音楽を聴くメリット
続いて、レース中、音楽を聴きながら走るメリットの紹介です。
[聴くメリット①] パフォーマンスが向上する
音楽を聴きながらランニングすることで、パフォーマンスが向上することが分かっています。
ある研究では、成人男性20人を対象に、6分間のランニングにおける音楽の影響を調査。
音楽を聴いているときは、音楽を聴いていないときと比較して、「平均走行速度が著しく速い」という結果になりました。
「記録更新を狙う」「初めてフルマラソンを走る」方にとっては、”音楽”は良いサポートをしてくれるでしょう。
[聴くメリット②] モチベーションが上がる
音楽は、”やる気”を起こさせる有益なツールです。
自分に合った、心地よいテンポはもちろん、心に刺さる”歌詞”がランナーの背中を押し、モチベーションを押し上げてくれます。
私は身体がキツくなった25〜35km地点で好きな曲を流し、1歩1歩前へ進む活力にしていました。
音楽を聴く際は、レース用にプレイリストを作成し、気持ちを高めましょう。
関連記事:ランニングのモチベーションを高める方法!気分が乗らないときの8つのヒント
[聴くメリット③] 暇つぶしができる
人によって異なりますが、走り始めてから完走するまでに3〜7時間かかります。
ゆっくり走る方は6〜7時間ほど走ったり、歩いたりするわけなので、走行中はとても”暇”です。
そんなときは、アーティストの曲はもちろんですが、特に、「オーディオブック」は暇をつぶすのに役立ちます。
オーディオブックは、ナレーターや声優が本を朗読してくれるサービスで、走行中に聴いていれば完走するまでに1冊読み終わることも。
記録更新は狙わず、どれだけ時間がかかっても完走できれば良いという考えの方に、オーディオブックはおすすめです。
レース中音楽を聴かないメリット
ランナーにとって、音楽はすばらしいメリットをもたらしてくれることが分かりました。
続いて、音楽を聴かずに走るメリットです。
[聴かないメリット①] 安全に走行できる
普段のランニングとは違い、レース中は様々な出来事が起こる可能性があります。
- コース上でのアナウンス
- 緊急車両
- 他のランナーとの接触
- 交通
コース上でのアナウンス
レース中のアナウンスは、各地点に配置された”大会関係者”や”スタッフ”から口頭で行われます。
一番多いのは、コースの各地点に設置された「関門(かんもん)」でのアナウンスです。
公道を通行止めしている関係で、コース上には複数の「関門」が用意されており、時間内に到達できないと、”失格”になります。
関門の閉鎖時刻がくると、大会関係者によってストップがかけられるため、音楽を聴いている方は注意しましょう。
緊急車両
前を行くランナーのアクシデントにより、後方から緊急車両が通る可能性もあります。
イヤホンを装着していれば周囲の音が聞こえず、適切な判断ができません。
仮に、音楽を聴く場合は、他のランナーや大会関係者に迷惑をかけない走りをすることが重要です。
他のランナーとの接触
音楽を聴いていると、注意散漫になり、他のランナーの存在を意識しなくなります。
後方からランナーが来ているにもかかわらず、周囲を確認せずに走路変更するのは、大変危険です。
また、大規模大会ほどランナー同士密集している時間帯が多く、腕や足が接触することもあります。
疲労が溜まると、さらに意識が低下するので、音楽を聴く場合は注意して走行しましょう。
交通
多くのマラソン大会は、公道を通行止めにして行われます。
中央分離帯のある片側二車線だと安心しますが、中には、片側一車線で、片側車線のみ通行止め(ランナーが走る場所のみ)で、反対車線ではバンバン車が通っている場合もあります。
真横を走るランナーに気を取られ、反対車線へ飛び込むドライバーがいないとは言い切れません。
音楽を聴いていれば、車が突っ込んできても、すぐに反応できませんので、「リスクのある行為」であることを認識しましょう。
[聴かないメリット②] 声援がよく聞こえる
マラソン大会の醍醐味の一つ ”沿道の声援”。
この声援がキツい身体に活力を与え、「フルマラソンを走りきれる」と言っても過言ではありません。
また、大会によっては、「吹奏楽部の演奏」や「和太鼓による演奏」、「学生によるダンス」なども用意されています。
特に、残り5kmまで迫った37km過ぎの応援は、もう残っていないはずの体力を再び復活させてくれる”力”があります。
大人になると、”声援”を浴びる機会はほとんどないため、レース中はイヤホンを外し、声援を楽しみましょう。
[聴かないメリット③] 持ち物を減らせる
レース中は、補給食やリップクリーム、目薬など携帯する持ち物がたくさんあります。
音楽を聴くとなれば、当然イヤホンは必須ですし、人によってはスマートフォンも必要になります。
また、30km過ぎには疲労困憊による影響で、注意力が散漫になり、「イヤホンを落としたことに気づかない」ということも。
音楽はパフォーマンスを向上させる効果がありますが、このように、レース時にはデメリットになることもあります。
レース中に音楽を聴くかどうかはあなた次第なので、よく考えて決断しましょう。
音楽を聴くならオープンイヤー型イヤホンがおすすめ
最後に、レース中音楽を聴くなら、オープンイヤー型イヤホンをしましょう。
耳の穴に装着する「カナル型」は、耳の穴を塞ぐことになるため、周囲の音が聞こえづらいです。
↓ カナル型(例:Air Pods Proなど)
一方、「オープンイヤー型」は耳を塞ぐことなく、耳の上に装着するので、周囲の音の拾いつつ、音楽が楽しめます。
レース中は安全に走行することが第一なので、他のランナーに迷惑をかけないよう音楽を楽しみましょう。
関連記事:【ランナー目線】ランニングにおすすめのオープンイヤー型イヤホン4選
まとめ
今回は今回はレース中に音楽を聴くことはできるのか紹介しました。
最終的に、レース中に音楽を聴くかどうかは、あなた次第です。
大会の規模にもよりますが、42.195kmひっきりなしに声援があるわけではありません。
移動手段の多い「駅」や「商業施設」、「観光地」周辺は観客が多い傾向なので、エリアに合わせてイヤホンを装着するのも良いでしょう。
ただし、音楽を聴く場合は、音量を下げ、周囲の状況を確認できるようにしましょう。
ぜひ、レースに出場される方は参考にしてみてください。
本日は以上です。
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【要チェック】フルマラソン完走ロードマップ
フルマラソン出場までの流れをまとめました。
初めてフルマラソン出場する方を対象に、下記の内容が分かります。
マラソン大会の選び方
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