そんな疑問にお答えします。
マラソンに出場する前にやるべきことの中の一つであるカーボローディングですが、名前は聞いたことあるのではないでしょうか。
カーボローディングとは、糖質を身体に溜め込む食事方法で、フルマラソン完走するためのエネルギーを確保する大事な作業です。
そこで今回は、カーボローディングのやり方を解説します。
レース当日、最高のコンディションで臨むための大事な作業になるので、ぜひ覚えておきましょう。
カーボローディングとは?

カーボローディング(またはグリコーゲンローディング)とは、糖質を身体に溜め込む食事方法です。
名前の由来は、カーボ(カーボハイドレイト=炭水化物)+ローディング(蓄える)ということで「カーボローディング」、またはグリコーゲン(糖質。走るために欠かせないエネルギー源のこと)+ローディングで「グリコーゲンローディング」と呼びます。
炭水化物には、糖質と食物繊維の2種類から成り立ちますが、カーボローディングでは糖質をエネルギーとして使用します。
そのエネルギー源である糖質を身体に補充することで、車でいうガソリン満タン状態でレースに臨むことができます。
体内に貯めておける糖質の量には限りがある
人間の体内に糖質を貯めておける量に限りがあります。
糖質は、筋肉に300g、肝臓に100gの計400g持っており、この400gはエネルギー量に換算すると約1,600kcalのエネルギーとなります。
ちなみに、フルマラソン完走に必要なエネルギー量は2,600kcalです。
満タンまで貯めても約1,000kcalは不足するため、不足したエネルギーはレース中に都度補給していき、完走を目指します。
レース中に行なうエネルギー補給は、フルマラソンにおすすめの補給食17選【サブ3.5、サブ4、サブ5向け】で解説しています。
カーボローディングの効果とは?

カーボローディングは、ハンガーノックを防ぐことができます。
ハンガーノックとは、エネルギー切れのことで、自動車でいうガス欠と同じで、体内のエネルギーを使い切ることで起こります。
先程も伝えたとおり、フルマラソン完走するにはレース中のエネルギー補給が欠かせません。
ハンガーノックが起これば、身体に力が入らず、足が思うように前へ進みません。
また、ハンガーノックが起これば目標タイムに届きませんので、レース前に少しでも多くの糖質を体内に貯めておきましょう。
カーボローディングのやり方

それでは、カーボローディングのやり方を解説します。
カーボローディングは大きく分けて2つのやり方があります。
- 古典的なやり方
- 現在主流のやり方
古典的なやり方
レース1週間前から糖質を減らした食事に変更し、トレーニングの運動量を増やすことで体内の糖質を枯渇させます。
3日前にトレーニングの運動量を減らし、その分、糖質の量を極端に増やすことで、体内に溜め込む方法です。
レースまでの期間 | 運動量 | 食事 | 糖質の量 |
1週間前〜4日前 | 増やす | 糖質を減らす | 糖質を枯渇させる |
3日前 | 減らす | 糖質を増やす | 糖質を溜め込む |
2日前〜前日 | 休息 | 糖質を増やす | 糖質をさらに溜め込む |
1度、体内の糖質を枯渇させることで、身体はより多くの糖質を取り込もうとする動きを利用したものになります。
しかし、この古典的なやり方はいくつかのデメリットがありました。
- 古典的なやり方のデメリット
- ・1週間前に運動量を増やすので、レース当日までに疲労が抜けない
・運動量を増やしたのに、糖質を減らすので体調を崩しやすい
上記のように、レース当日に向けてコンディションを上げなければいけないにも関わらず、むしろコンディションを悪化させてしまう方法でもありました。
1週間前に運動量を増やし、糖質を減らす古典的なやり方は、万全な状態で挑むことが難しいやり方です。
現在主流のやり方
続いて、現在、多くのランナーが行っている主流のやり方です。
レース1週間前からトレーニングの運動量を減らし、食事は普段通り行います。
レース3日前から運動量を減らしたまま、もしくは休みにし、糖質の量を極端に増やす食事に変更する方法です。
レースまでの期間 | 運動量 | 食事 | 糖質の量 |
1週間前〜4日前 | 減らす | 普段通り | 糖質を維持 |
3日前 | 減らす | 糖質を増やす | 糖質を溜め込む |
2日前〜前日 | 休息 | 糖質を増やす | 糖質をさらに溜め込む |
こちらは運動量を減らすことで糖質の消費を減らし、体内に溜め込もうというやり方です。
3日前から糖質の量を増やすだけで、あとはいつも通りでOK。
また、運動量も1週間前から減らすため、負担も少なく、疲労も残りません。
3日前から糖質を増やすだけの食事方法に切り替えるだけなので誰でも取り組みやすいです。また、運動量も減らしているのでケガや体調不良を防ぎ、最高のコンディションでレースに挑むことができます。
カーボローディング時の食事のポイント

続いて、カーボローディング時の食事のポイントです。
3日前から糖質の量を70%に増やす
「では、どのくらい糖質を増やせばいいのか」
現在主流のやり方で見ていきます。
一般的に、1回の食事では全体の50〜60%を糖質が占めています。
これをレース3日前から全体の70%以上に引き上げます。
たった、これだけです。
レース3日前から全体の70%以上を糖質にします(通常は50〜60%)。
糖質とは、どんなものがある?
糖質は、大きく単糖類と多糖類の2つに分かれます。
単糖類とは、摂取後すぐにエネルギーとして使用できますが、身体にあまり蓄えられません。主に、お菓子や果物などが挙げられます。
多糖類とは、エネルギーになるまで時間がかかりますが、身体に蓄えることができます。主に、ご飯、パン、麺類(パスタ、うどん)などが挙げられます。
- 単糖類・・・レース中のエネルギー補給に向いている(お菓子や果物)
- 多糖類・・・レース前の補給に向いている(ご飯やパスタ)
下記が、主な糖質(多糖類)のメニューです。
- 主な糖質(多糖類)のメニュー
- ・ご飯
・パン
・麺類(パスタ、うどん)
・お餅
カーボローディング時は、ご飯やパスタ大盛りにするなど、普段より多くの糖質を摂りましょう。
食事量は変えずに糖質だけ増やす
カーボローディングは、糖質を増やす食事方法です。
ただ、普段と同じおかずの量ではありません。
糖質を50%→70%に増やしたなら、おかずは50%→30%に減らして調節するやり方です。
なので、必要以上に食べ過ぎないように注意しましょう。
また、1度に多くの食べられない人は、間食を利用して、カステラや果物、お菓子など摂りましょう。
バランス良く食事を摂ろう
糖質を多く摂ろうとすると、栄養が偏ってしまいます。
そのため、体調を整えるにはビタミンやミネラルなどの栄養素を積極的に摂取する必要があります。
ビタミンはオレンジやグレープフルーツ、キツイフルーツなどに含まれているので、サプリメントや食事で摂るようしましょう。
また、ミネラルは水から補給できるので、詳しくはマラソン大会前にやるべきウォーターローディングとは?【レース1週間前から始めよう】で解説しています。
体重変動に気をつける
カーボローディングを行なうと体重が増加します。
運動量を減らし、糖質は増やすため、1〜2kg増加することが考えられます。
人によっては1kg増加するだけで走りに影響する場合もあると思うので、レース前に行うのではなく、レース1ヶ月前など、事前に自分に合った方法(食事量)を見つけましょう。
おすすめの食事例

下記は、カーボローディングの食事例です。
レース(残り日数) | メニュー |
3日前 | 朝:おにぎり2個、味噌汁、バナナ 昼:うどん、かやくご飯セット 間食:ロールケーキor和菓子 夜:ラーメン、チャーハン、餃子、サラダセット |
2日前 | 朝:もち3個 昼:パスタ、パン、ヨーグルト+半バナナ、トマトスープ 間食:バナナ 夜:うな丼、漬物、味噌汁、温野菜、りんご、蒸しパン |
前日 | 朝:パン、バナナ、ヨーグルト 昼:おにぎり4個 間食:バナナ 夜:パスタ、そば、チャーハン、野菜、デザート |
また、カーボローディング中は、胃に負担のかかる、消化に悪いものは摂らないようにしましょう。
- 脂肪分の多いもの
- 食物繊維の多いもの
- 生もの
- 辛いもの
- アルコール
お腹が緩くなると、レースに影響を及ぼします。
特に、レース前日は糖質を摂りつつ、消化の悪いものは避けるようにしましょう。
詳しくは、フルマラソン前日の食事は何を食べればいいの?食べていいもの・食べてはダメなもの【初心者向け】で解説しています。
まとめ
今回は、カーボローディングのやり方を解説しました。
カーボローディング(またはグリコーゲンローディング)とは、糖質を身体に溜め込む食事方法です。
レース3日前から運動量を減らし、糖質(ご飯、パン、麺類)の量を極端に増やしていきましょう。
フルマラソンで自分の力を発揮するにはエネルギーが満タンであることが必須なので、ぜひ参考にしてみてください。
本日は以上です。
【要チェック】フルマラソン完走ロードマップ

フルマラソン出場までの流れをまとめました。
初めてフルマラソン出場する方を対象に、下記の内容が分かります。
- マラソン大会の選び方
- 購入すべきランニンググッズ
- 完走するためのトレーニング方法
- レース前日や当日の過ごし方
▼詳しくはこちら
【完全版】初心者がフルマラソン完走するためのロードマップ