マラソン中に音楽を聴く(イヤホン着用)のはOK?大会ルールとメリット・注意点まとめ

yusuke saito

初めてフルマラソンに出場する方は、「レース中に音楽を聴いてもいいの?」と迷うことがあると思います。

結論から言うと、イヤホンの使用は禁止されていませんが、推奨されていないのが現状です。

これは、日本陸上競技連盟のガイドラインによるもので、イヤホンを装着すると周囲の音が聞こえにくくなり、安全面に支障が出る可能性があるためです。

とはいえ、実際の大会ではイヤホンをつけて走るランナーも少なくありません。

個人的には、「音量を小さくする」あるいは「オープンイヤー型のイヤホンを使う」など、周囲の音が聞こえる工夫をしていれば、音楽を楽しみながら走るのも良いと思います。

この記事では、マラソン中に音楽を聴くことができるのかを詳しく解説します。

具体的には、主要大会の競技規約や、音楽を聴くことのメリット・デメリットについてもご紹介していきます。

レース時のイヤホン使用ルールについて

京都マラソン2025の様子

大会ごとにルールは異なる

多くのマラソン大会では、「20〇〇年度日本陸上競技連盟競技規則に準じる」と記載されています。

この規則では、イヤホンに関して以下のような文言があります。

エリートランナーやその他のカテゴリーで出場する競技者が完全閉鎖されたコースで走っている時にはヘッドまたはイヤホンを使用することを許可するにしても、交通規制が解除された後は、走るスピードが遅いランナーに対しては使用を禁止する(少なくとも推奨しない)。

つまり、「完全に車両通行止めされている区間ではイヤホンの使用が許可されるが、交通規制が解除された後は使用を避けるべき」という内容です。

多くの大会では公道が封鎖されているため、イヤホン着用は禁止ではないと考えられます。

京都マラソン2025の様子

ただし、中には片側一車線だけを封鎖し、反対車線には車が走っているような大会もあります。

第22回石垣島マラソンの様子

そういった環境では、後方から近づくランナーに気づかず進路を変えてしまい、追い抜こうとしたランナーが接触を避けようとして車道側に出るなど、思わぬ事故につながる恐れがあります

このようなリスクを踏まえると、競技規則が示す通り、イヤホンの使用は控えるのが望ましいのが実情です。

各大会のルールを必ずチェックしよう

イヤホンや音楽の使用については、大会ごとの「競技規約」や「参加案内」に明記されています。

たとえば、東京マラソンの参加案内にも、イヤホン使用に関する注意事項が記載されています。

引用元:東京マラソン参加案内

大会によっては、使用条件が具体的に定められているケースもあるため、エントリー前や当日の参加前に必ず確認しておきましょう。

下記大会では実際に、イヤホン着用による事故が発生しております。

実際に起きた事故の例

2018年の「青島太平洋マラソン」では、心肺停止のランナーに後方から救護班が駆けつけた際、イヤホンをしていた周囲のランナーがその声に気付かず、対応が遅れたという事例がありました。

この事故を受け、同大会では現在「イヤホンは片耳のみの装着を推奨」としています。

このような事例もあることから、イヤホン使用が可能な大会であっても、安全面に十分配慮した上で使用することが大切です。

主要大会の競技規約

参考までに、イヤホンの記載のあった大会を紹介します。

  • 東京マラソン:イヤホンやヘッドホンの使用は周囲の音が聞こえなくなるため大変危険です。使用する場合は、周囲の音が聞こえる音量もしくは片耳をあけるなど対策をお願いします。
  • 富山マラソン:レース中、コース内を緊急車両が走行したり、視聴覚に障がいのあるランナーが走路確保を呼びかけたりする場合があるため、イヤホンは片耳での装着をお願いいたします。
  • 金沢マラソン:審判やスタッフの指示が聞こえない状態でのイヤホン(ヘッドホン)の使用はご遠慮ください。
  • 新潟マラソン:主催者のアナウンスや緊急車両のサイレンがイヤホン等で聞こえない状態での出走。
  • 長野マラソン:イヤホンで音楽などを聞きながらの走行は危険ですのでご遠慮ください。ぜひイヤホンをはずして、沿道の声援を浴びながら走ってください。
  • 京都マラソン:緊急時にランナーストップとなる場合があります。スタッフの指示が聞こえるようにご協力ください。
  • 岡山マラソン:他の参加ランナーや応援者を不快にさせたり、危険な行為であると審判員が判断した場合、競技中止を指示することがあります。また、両耳をふさぐイヤホンを付けての走行は危険ですので、ご遠慮ください。
  • 高知龍馬マラソン:イヤホンでの音楽を聴きながらの走行は、周囲の音が聞こえず危険です(救護車両や緊急車両等が通ります)ので、お控えください。
  • 青島太平洋マラソン:イヤホンの装着はOKです。但し、2018年大会で心肺停止事例が発生した際、イヤホン装着ランナーが後方から駆け付ける救護班の声に気付きにくいという状況がありました。そこで青島太平洋マラソンは「イヤホン片側装着」をお願いすることとしました。
  • さが桜マラソン:イヤホン利用は片側装着など周囲の音が聞こえるようにし、救護活動等を妨げないようご協力をお願いします。

イヤホンに関する記載がある大会の多くは、「片耳のみ」や「周囲の音が聞こえる音量」での使用であれば可としています。

ただし、中にはイヤホン着用自体を禁止している大会(例:高知龍馬マラソン)もあります。

一方で、明確なルールが記載されていない大会もあります。

その場合は、事前に大会運営事務局へ直接確認することをおすすめします。

レース時に音楽を聴く?

第40回新潟シティマラソン2024の様子

株式会社アールビーズが実施した「ランナー世論調査2016」によると、「レース中に音楽を聴きますか?」という質問に対し、約30%が「毎回聴く」、約8%が「時々聴く」と回答しました。

一方で、約40%は「まったく聴かない」と答えており、「聴く(時々含む)派:約38%」「聴かない派:約40%」と、ほぼ半々の結果になっています。

Q.レースでの走行時に音楽を聴きますか?

毎回聴く
約30%
時々聴く
約8%
あまり聴かない
約20%
全く聴かない
約40%

この調査はやや古く(2016年実施)、現在はイヤホンの音質・防水性能・バッテリーの持ちなども大きく進化しています。

さらに、SpotifyやApple Musicといった音楽配信サブスクリプションサービスの普及により、以前よりもずっと手軽に音楽を楽しめるようになりました。

こうした背景から考えると、現在ではレース中に音楽を聴くランナーの割合は、当時より増えている可能性が高いと言えます。

実際、私自身が参加したレースでも、イヤホンを装着して走るランナーは多い印象を受けました。

マラソン中に音楽を聴く3つのメリット

ここからは、マラソン中に音楽を聴きながら走ることで得られる3つのメリットをご紹介します。

聴きながら走るメリット
  • パフォーマンスが向上する
  • モチベーションが上がる
  • 暇つぶしになる

[聴くメリット①] パフォーマンスが向上する

音楽には、走るパフォーマンスを高める効果があることが分かっています。

ある研究では、成人男性20人を対象に、6分間のランニング中に音楽の有無でパフォーマンスを比較。

その結果、音楽を聴いていたグループのほうが、平均走行速度が大きく向上したというデータが出ています。

「記録更新を狙いたい」「初めてフルマラソンに挑戦する」そんな方にとって、音楽は心強い味方になるはずです。

[聴くメリット②] モチベーションが上がる

音楽は、気持ちを前向きにしてくれる強力なツールです。

テンポの合う曲や、心に響く歌詞が流れてくると、不思議と体が軽くなったような気さえします。

実際に私自身も、25〜35kmあたりのキツい区間でお気に入りの曲を聴きながら走り、一歩ずつ前に進む力をもらいました。

レース本番に備えて、自分用のプレイリストを作っておくと、当日の気分もグッと高まります。

関連記事:ランニングのモチベーションを高める方法!気分が乗らないときの8つのヒント

[聴くメリット③] 暇つぶしになる

フルマラソンの完走には、走るペースにもよりますが、3〜7時間ほどかかります。

ゆっくりペースで走る場合、6時間以上にわたって走ったり歩いたりすることになるため、正直、長時間の孤独との戦いになることも。

そんなときは、音楽だけでなくオーディオブックもおすすめです。

オーディオブックとは、ナレーターや声優が本を読み上げてくれる音声サービスで、長時間のランにもぴったり。うまくいけば、1冊まるごと聴き終わることもできます。

「記録より完走が目標」「走る時間も楽しみたい」という方には、音楽やオーディオブックが最高の相棒になるはずです。

マラソン中に音楽を聴かない3つのメリット

音楽には多くのメリットがありますが、聴かずに走ることにも大きな魅力があります。

ここでは、音楽を聴かずに走る3つのメリットをご紹介します。

聴かずに走るメリット
  • 安全に走行できる
  • 沿道の声援を楽しめる
  • 持ち物が減る

[聴かないメリット①] 安全に走行できる

マラソンは普段のジョギングとは異なり、多くの人や要素が関わる特殊な環境です。

音楽を聴いていると、周囲の状況に気づきにくくなる場面も少なくありません。

安全に走行できる
  • 大会アナウンスに気づける
  • 緊急車両への対応
  • ランナー同士の接触リスク
  • 車道との距離感にも注意

大会アナウンスに気づける

レース中は、「関門の通過時間」や「コース変更」などの重要な情報が、スタッフの声で伝えられます。

とくに、関門では指定時間内に到達できなければ失格になるため、アナウンスをしっかり聞き取れることは非常に重要です。

緊急車両への対応

前方のランナーが倒れた場合、後方から救護車両やスタッフが駆けつけることがあります。

イヤホンをしていると、こうした緊急時の音に気づけず、進路を妨げてしまう危険も。

ランナー同士の接触リスク

第40回新潟シティマラソン2024の様子

周囲のランナーに気づかず、急な進路変更をしてしまうと接触や転倒の原因になります。

大規模な大会では特に混雑する時間帯が多く、音楽で集中力が途切れると大きなトラブルにつながりかねません。

車道との距離感にも注意

第22回石垣島マラソンの様子

一部の大会では、片側一車線だけ通行止めになっており、反対車線には車が走っているケースもあります。

集中が切れたときにフラッと車道寄りに動いてしまうと、重大な事故につながる可能性も

音楽を聴かないことで、こうしたリスクを減らすことができます。

[聴かないメリット②] 沿道の声援を楽しめる

京都マラソン2025の様子

マラソン大会の大きな魅力のひとつが、沿道からの声援です。

観客の「頑張れー!」というひと言が、疲れた身体に活力を与えてくれる瞬間があります。

特に終盤の37km付近での声援は、不思議と足が前に進む“魔法”のような力を持っています。

大会によっては、和太鼓の演奏や学生のダンス、吹奏楽部の生演奏などが用意されていることもあり、地域の温かみを感じながら走れるのも魅力です。

ちばアクアラインマラソン2024の様子
第1回さいたまマラソンの様子

大人になると「声援を浴びる機会」はそう多くありません。

だからこそ、マラソン中はイヤホンを外し、生の応援をしっかり受け取ることをおすすめします。

[聴かないメリット③] 持ち物が減る

レース中は、補給食やリップクリーム、目薬など、意外と持ち物が多くなります。

そこにイヤホンやスマートフォンが加わると、さらに荷物が増えてしまいます。

しかも30kmを超えると、疲労で注意力が低下し、イヤホンを落としても気づかない…なんてことも。

「音楽を聴かない」という選択は、荷物のミニマル化にもつながり、精神的にもシンプルにレースに集中できます。

レース中に音楽を聴くかどうかはあなた次第なので、よく考えて決断しましょう。

私自身は、大会の雰囲気や沿道の応援をじっくり味わいたいので、あえてイヤホンは使わずに走っています。その土地ならではの応援や演出に触れながら走るのは、マラソン大会ならではの楽しみです。ぜひ一度、「イヤホンなし」で走ってみてはいかがでしょうか?

関連記事:手ぶらでフルマラソンに出場したい!最低限必要な持ち物と格好(ウェア)とは

音楽を聴くなら「オープンイヤー型イヤホン」を選ぼう

レース中に音楽を聴くなら、周囲の音が聞こえる「オープンイヤー型イヤホン」がおすすめです。

一般的なカナル型イヤホン(例:AirPods Proなど)は耳の穴に装着するため、周囲の音が遮られやすく、安全面で不安が残ります。

↓ カナル型(例:Air Pods Proなど)

一方、オープンイヤー型イヤホンは、耳を塞がず耳の上や前に引っ掛ける構造になっており、音楽を楽しみながらも外部の音がしっかり聞こえるのが特徴です。

これにより、周囲のランナーや大会スタッフの声、緊急時のアナウンスにも気づきやすくなり、安全な走行が可能になります。

実際のレースでもオープンイヤー派が多数

先日フルマラソンに出場した際、周囲を見渡すとオープンイヤー型を着用しているランナーが多い印象でした。やはり、「耳をふさがない=安全に走れる」ことが、選ばれる理由だと感じました。

関連記事:【ランナー目線】ランニングにおすすめのオープンイヤー型イヤホン4選

まとめ

今回は、レース中に音楽を聴くことはできるのか?についてご紹介しました。

最終的に、音楽を聴くかどうかはあなた自身の判断です。

大会の規模や地域にもよりますが、42.195kmのすべてにわたって声援があるわけではありません。

特に、駅や商業施設、観光地の近くは応援が多く集まりやすい傾向があるため、そうしたエリアではイヤホンを外して沿道の声援を楽しむのもおすすめです。

音楽を聴く場合は、音量を下げて周囲の音が聞こえる状態を保つなど、安全面への配慮も忘れずに。

これからマラソン大会に出場される方は、ぜひ参考にしてみてください。

本日は以上です。

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【要チェック】フルマラソン完走ロードマップ

フルマラソン出場までの流れをまとめました。

初めてフルマラソン出場する方を対象に、下記の内容が分かります。

マラソン大会の選び方

購入すべきランニンググッズ

完走するためのトレーニング方法

レース前日や当日の過ごし方

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Yusuke Saito
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マラソンランナー
初心者のためのマラソンブログ「31らん(さいらん)」運営者。2018年6月にランニングを始め、年間2,500km走ってます。これまでの記録は、【フルマラソン】 3:57:54(ちばアクアラインマラソン2024) 【ハーフマラソン】 1:46:18(第39回フロストバイトロードレース)。マラソン大会に向けた流れやトレーニング方法、ランニンググッズを紹介していきます。
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