フルマラソンの自己分析方法!レース後に振り返りあなたの強みと弱みを見つけよう
フルマラソン完走は多くのランナーにとって大きな目標です。
中には、完走することは当たり前で、サブ3やサブ4といったように目標タイムを設定して臨む方もいるでしょう。
レース後、次の大会が控えている方はレースの振り返りを行いましょう。
自己分析は自身の現在地を知り(弱みを見つけ)、弱みを改善し、強みをさらに伸ばすための重要なプロセスです。
この記事では、フルマラソンの自己分析を行う方法について解説します。
自己分析の重要性 -なぜ自己分析が必要なのか-
自己分析を行うことで、(現時点での)自身の実力を正確に理解することができます。
目標に対して、どのくらいの差があるのかを知ることで今後のトレーニング内容を決める際の役に立ちます。
例えば、目標より1時間以上遅くフィニッシュした場合は、そもそもの「目標タイムが速すぎた」ということになります。
この場合は、目標タイムを下方修正し、その目標タイムに合わせたトレーニング内容に変更する必要があります。
また、目標より15分ほど遅くフィニッシュした場合は、「スタミナ不足」ということになります。
この場合は、練習量(走る時間・距離)を増やし、スタミナを付ける必要があります。
このように、自分の実力を知ることで今後のトレーニング内容を修正でき、目標に向かって進むことが可能になります。
自己分析のメリット
自己分析するメリットは、「弱点の特定と改善」が行える点です。
目標タイム以内に完走できない理由のほとんどが、レース後半の”失速”です。
また、同じ”失速”でも、様々な原因が挙げられます。
- 目標タイムが速すぎた
- オーバーペースで走ってしまった
- スタミナ不足
目標タイムが速すぎた
単純に、自身の実力以上の目標タイムを設定してしまい、それが原因で失速するパターンです。
42kmどころか、そもそも15〜30kmという距離でも目標タイムのペースで走ることができないケースです。
下記の表が一例です。
目標タイムを4時間とした場合(1kmのペースは5:41/km)。
地点 | 通過タイム | 区間タイム | 速度 |
5km | 0:28:40 | 0:28:40 | 5:44 /km |
10km | 0:58:30 | 0:29:50 | 5:58 /km |
15km | 1:29:15 | 0:30:45 | 6:09 /km |
20km | 2:00:50 | 0:31:35 | 6:19 /km |
ハーフ 21.0975km | 2:07:55 | – | – |
25km | 2:33:05 | 0:32:15 | 6:27 /km |
30km | 3:07:10 | 0:34:05 | 6:49 /km |
35km | 3:42:30 | 0:35:20 | 7:04 /km |
40km | 4:19:55 | 0:37:25 | 7:29 /km |
フィニッシュ 42.195km | 4:43:20 | 0:23:25 | 10:40 /km |
目標タイムを4時間とした場合の1kmのペースは5:41/kmですが、最初の5kmの段階で設定ペースより遅い入りをしています。
10km以降もずるずるペースが落ち、最終的には目標タイムより40分遅い、4時間40分台でのフィニッシュとなりました。
おそらく練習の段階から、42kmを5:41/kmペースで走るのは難しいと感じていたと思うので、目標タイムを4時間30分以内(1kmのペース:6:23/km)に下降修正する必要がありました。
仮に、目標タイムを4時間30分以内(1kmのペース:6:23/km)にすることでレース前半のペースを抑えて入ることができるので、目標通りフィニッシュできていた可能性があることになります。
サブ4やサブ4.5など区切りの良いペースではなく、15分、10分単位で目標タイムを設定することでレース中の失速を防げるでしょう。
オーバーペースで走ってしまった
レース前半に、設定ペースより速いペースで走ってしまい、それが原因で失速するパターンです。
レース開始直後は、自分と同じ実力のランナーだけではなく、異なる目標タイムを設定しているランナーと併走する可能性があります。
もし、自分の実力以上のランナーのペースに合わせてしまうと、どんどん設定ペースより速くなってしまい、気がつくとオーバーペースになってしまいます。
下記の表が一例です。
目標タイムを4時間とした場合(1kmのペースは5:41/km)。
地点 | 通過タイム | 区間タイム | 速度 |
5km | 0:28:20 | 0:28:20 | 5:40 /km |
10km | 0:55:00 | 0:26:40 | 5:20 /km |
15km | 1:22:00 | 0:27:00 | 5:24 /km |
20km | 1:49:25 | 0:27:25 | 5:29 /km |
ハーフ 21.0975km | 1:55:39 | – | – |
25km | 2:17:50 | 0:28:25 | 5:41 /km |
30km | 2:47:05 | 0:29:15 | 5:51 /km |
35km | 3:17:45 | 0:30:40 | 6:08 /km |
40km | 3:50:10 | 0:32:25 | 6:29 /km |
フィニッシュ 42.195km | 4:09:30 | 0:19:20 | 8:48 /km |
目標タイムを4時間とした場合の1kmのペースは5:41/kmですが、スタートから20kmの段階で設定ペースより速いペースで走ってしまっています。
すると、レース中盤にもかかわらず、オーバーペースによる疲労感に襲われ、レース中盤から終盤にかけて失速してしまいました。
マラソンでは一定のペースで淡々と走ることが重要なので、序盤から速いペースで走ることをガマンすることでレース中の失速を防げるでしょう。
スタミナ不足
練習不足で42kmを走り抜くスタミナが備わっていないと、それが原因で失速してしまいます。
下記の表が一例です。
目標タイムを4時間とした場合(1kmのペースは5:41/km)。
地点 | 通過タイム | 区間タイム | 速度 |
5km | 0:28:20 | 0:28:20 | 5:40 /km |
10km | 0:56:40 | 0:28:20 | 5:40 /km |
15km | 1:25:00 | 0:28:20 | 5:40 /km |
20km | 1:53:20 | 0:28:20 | 5:40 /km |
ハーフ 21.0975km | 1:59:34 | – | – |
25km | 2:21:45 | 0:28:25 | 5:41 /km |
30km | 2:50:10 | 0:28:25 | 5:41 /km |
35km | 3:18:50 | 0:28:40 | 5:44 /km |
40km | 3:47:55 | 0:29:05 | 5:49 /km |
フィニッシュ 42.195km | 4:02:30 | 0:14:35 | 6:39 /km |
目標タイムを4時間とした場合の1kmのペースは5:41/kmですが、スタートから30kmまでは設定ペースで走れていたが、レース終盤から徐々に失速してしまいました。
この場合、30kmまでのスタミナは備わっているが、31km以降のスタミナが備わっていないことが分かります。
設定ペースで走れるだけのスピードは備わっていても、スタミナ不足では目標タイムでの完走は難しいため、レース終盤を粘り強く走り抜くだけのスタミナを身につけることでレース中の失速を防げるでしょう。
ラップタイムから分かる弱点
今回は「ランニングマガジン・クリール 2024 5月号」に紹介されていた自己分析特集から、3つのレースパターンを紹介します。
- レース終盤に失速し、目標タイムに届かず
- イーブンペースで完走したが、目標タイムに届かず
- 中1ヶ月で臨んだレースで、タイムが落ちた
これらのパターンを、(私自身の)過去のレースのラップデータを照らし合わせ、見ていきます。
[パターン1] レース終盤に失速し、目標タイムに届かず
ハーフまでは設定ペースで走れていた(もしくは2〜3分ほどの貯金があった)のに、30〜35km以降に失速してしまったパターンです。
下記は、私自身が出場した2024年2月開催の「さいたまマラソン」、目標タイム4時間以内を目指して完走した際のラップタイムです。
目標タイム4時間(1kmのペースは5:41/km)。
フルマラソン4時間以内を目指すには、5kmのラップタイムは0:28:24になりますが、レース序盤から1〜2分速く走行しています。
それが原因で、30km以降、0:29:00台まで失速してしまい、結果的に4時間5分でフィニッシュする形となりました。
これは完全にスタミナ不足が原因で、練習不足が原因とも言えます。
[パターン2] イーブンペースで完走したが、目標タイムに届かず
スタートからフィニッシュまで失速することなくイーブンペースで走れていた一度も目標のレースペースで走れなかったパターンです。
私はこのケース、一度も経験はありませんが、下記のラップタイムのような状況です。
目標タイムを4時間とした場合(1kmのペースは5:41/km)。
地点 | 通過タイム | 区間タイム | 速度 |
5km | 0:29:20 | 0:29:20 | 5:52 /km |
10km | 0:58:39 | 0:29:20 | 5:52 /km |
15km | 1:27:59 | 0:29:20 | 5:52 /km |
20km | 1:57:19 | 0:29:20 | 5:52 /km |
ハーフ 21.0975km | 2:03:45 | – | – |
25km | 2:26:38 | 0:29:20 | 5:52 /km |
30km | 2:55:58 | 0:29:20 | 5:52 /km |
35km | 3:25:18 | 0:29:20 | 5:52 /km |
40km | 3:54:37 | 0:29:20 | 5:52 /km |
フィニッシュ 42.195km | 4:07:30 | 0:12:53 | 5:52 /km |
フルマラソン4時間以内を目指すには、5kmのラップタイムは0:28:24になりますが、終始0:29:20で走っています。
もちろんレースペースより遅いペースで走っているため4時間以内に完走はできず、結果的に4時間7分台でフィニッシュする形となりました。
この場合、失速せずに走行できているため、現時点での実力は出し切れたと言えます。
[パターン3] 中1ヶ月で臨んだレースで、タイムが落ちた
レース間隔が短く、完全休養ができていない状態でレースに臨んだところ、タイムが落ちてしまったパターンです。
例えば、下記のような状況です。
レース時期 | フィニッシュタイム |
2023年12月 | 4:03:56 |
2024年1月 | 4:07:30 |
この場合、大きく2つの要因があります。
- レース後から次のレースまでほとんど練習せず、回復に努めたが結果が出なかった → そもそものレース間隔が短すぎた
- レース後から次のレースまでの間、前回のレースの反省を活かし練習を行ったが結果が出なかった → マラソン+練習により身体が消耗してしまい、疲労が抜けきらなかった
そもそものレース間隔が短すぎた
初めてフルマラソンに出場する場合、フルマラソン後のダメージが回復するまでにどのくらいの時間を要するのか分かりません。
SNSやWebなどの情報で、「レース間隔は〇ヶ月空けると良い」という情報を得たので、そのとおりにエントリーしてみたが、どうやら自分は他の人より完全回復するまで時間がかかり、次のレースに間に合わないということもあります。
その場合、ダメージが残った状態でのレースとなるため、場合によっては「前回のレースより出来が悪い」ということになる可能性があります。
そのため、初めてフルマラソンに出場する年は1年に1回のペースにし、翌年から回復期間を考慮したレース間隔でエントリーすると良いです。
ちなみに、私は過去の経験から1ヶ月間隔を空ければフルマラソンを走れるまでに回復することがわかっているため、1ヶ月間隔でレースに臨んでいます。
下記が23/24(2023/9〜2024/3)シーズンのレース結果です。
レース時期 | ネットタイム |
2024年2月12日 | 4:03:33 |
2023年12月3日 | 4:09:51 |
2023年10月29日 | 4:09:49 |
私の場合、1ヶ月間隔だと良い記録が出ず、2ヶ月空けると良い記録が出ることが分かりました。
人によっては間隔は異なるため、自分自身の回復期間を考慮し、エントリーすることが大切です。
関連記事:フルマラソンに出場する頻度・間隔は?年間何回出場するのが良い?
マラソン+練習により身体が消耗してしまい、疲労が抜けきらなかった
レース後の分析から、「スタミナ不足」や「スピード不足」などの課題が見つかり、焦りから回復していないにもかかわらず練習再開してしまうとします。
もちろん、練習することで不安は取り除けるかもしれませんが、より疲労が溜まってしまえば本末転倒です。
次のレースまでに疲労を抜くことが第1優先なので、疲労を抜きながら無理のないペースで練習することが大切です。
対策としては、2時間LSDや4時間ウォーキングなど低負荷長時間練習を行うことが挙げられます。
低負荷でも長時間行うことで、持久力を養うことができるため、次のレースに向けて改善が可能です。
レース記録の残し方
レースの記録はノートに書いたり、スマートフォンのメモ帳やGoogleドキュメント、スプレッドシートなどデジタルで管理すると良いです。
記録する内容は下記の通りです。
- 開催日
- 大会名
- 天気
- スタート時刻
- 5kmごとの通過タイムとラップタイム
- フィニッシュタイム
- 家を出た時間
- 前日の夕食の時間とメニュー
- 当日の朝食の時間とメニュー
- レース中に携帯したジェル
- レース当日着用したウェア
- レース当日着用したシューズ
- トイレに行った回数
- レース中の詳細(足の痛みが出た場所、立ち止まった場所)
- 目標タイム
- 参加料や交通費など合計金額
●2024年2月12日(月・休)さいたまマラソン 9:00スタート 晴れ(最高12℃、平均6℃、平均風速2.8m/s)
●ラップタイム、レース中の様子
目標タイム4時間以内
トイレは〇kmと〇〇km、〇〇kmの計3回行った。ジェルは計4つ携帯し、〇km、〇〇km、〇〇kmの3回で摂取。残りの1つは腹痛により摂取できず。
●レース前日から当日の流れ(感想)
レース前日はココイチの豚しゃぶカレー600gを食べ、当日はおにぎり2個、ヨーグルトを摂った。レース当日は4時に起床し、4時20分に朝食、6時に出発し、7時40分に会場到着。その後、着替え・・・
●着用したウェア
参加賞Tシャツ、アシックスのハーフパンツ、オンのロングソックス・・・
●着用シューズ
アシックス NOVABLAST 4
●参加料
15,000円+交通費など
記録は大会名、ラップタイムなどのレース情報、その他レース当日の流れやレース中に感じたことを記入します。
特に、トイレの回数やジェルの補給タイミング、水分補給の回数などは今後のレースの参考になるため、覚えている範囲で記入しましょう。
ちなみに、私の場合は本サイトに記入しており、定期的に内容を確認できるようにしています。
関連記事:フルマラソン・ハーフマラソン出場歴
まとめ
今回はフルマラソンの自己分析を行う方法について解説しました。
改めて、自己分析のメリットは「弱点の特定と改善」が行える点です。
5kmごとのラップタイムを確認することでスタミナ不足なのか、オーバーペースによるペース配分に誤りがあったのか、知ることができます。
5kmのラップタイムを見る際は、下記のパターンも確認し、次のレースに向けて改善しましょう。
■レース終盤に失速し、目標タイムに届かず
→ スタミナ不足が原因なので、疲れた状態で走る練習が必要
■イーブンペースで完走したが、目標タイムに届かず
→ 練習時から目標のレースペースを体験し、スピードを身体に覚えさせる
■中1ヶ月で臨んだレースで、タイムが落ちた
→ 疲労を抜くことが第1優先なので、疲労を抜きながら無理のないペースで練習する
また、レース当日に気になったことはメモを残すようにし、あとで振り替えれるようにしましょう。
本日は以上です。
関連記事:マラソンの年間計画の立て方!初レースに向けてトレーニングプランの基本ガイド
関連記事:フルマラソンに出場するのにどのくらいの費用がかかるの?参加費の内訳と節約方法を紹介
【要チェック】フルマラソン完走ロードマップ
フルマラソン出場までの流れをまとめました。
初めてフルマラソン出場する方を対象に、下記の内容が分かります。
マラソン大会の選び方
購入すべきランニンググッズ
完走するためのトレーニング方法
レース前日や当日の過ごし方
▼詳しくはこちら
【完全版】初心者がフルマラソン完走するためのロードマップ