ランニング中の擦れ対策!摩擦による擦れが起こる原因と擦れを防ぐ方法
ランニング中にウェアと皮膚が擦れて痛いです。擦れを防ぐ方法を教えてください。
そんな疑問にお答えします。
ランニングは足や腕、身体が常時、動いているため、半袖シャツやハーフパンツなどのウェアと皮膚が擦れるように触れ続けます。
そのウェアと皮膚の摩擦によって引き起こされる皮膚の炎症が”擦れ”で、「肩」や「太もも」、「股」など様々な箇所が擦れてしまいます。
重度の擦れの場合、その痛みからランニングが継続できない場合もあるため、擦れ対策は必須です。
そこで今回は、快適にランニングを続けられるよう、ランニング中の擦れ対策を紹介します。
摩擦による「擦れが起こる原因」と「擦れを防ぐ方法」を解説するので、参考にしてみてください。
ランニング中に擦れが起こる原因
擦れは、皮膚とウェアが連続的に接触する(摩擦される)ことで引き起こされる皮膚の炎症です。
イメージしやすいのは”靴ずれ”で、長時間歩いたり、履き慣れていない靴を履いたときに、靴ずれを引き起こしたことがある人は多いと思います。
靴ずれの主な原因は「サイズが合っていない」ことが挙げられ、シューズ内に隙間ができることで、カカト部分が不安定に動く状態になり、徐々にカカトが擦れて(靴ずれが)起こります。
靴ずれは長時間歩くことで起こることと同じように、ランニングは長時間動くスポーツなため、擦れが起こりやすいのです。
ランナーの間で「擦れ」によるトラブルは多い
アメリカの「国立バイオテクノロジー情報センター」に、ランニングと皮膚トラブルに関する、興味深い調査データがあったので、共有します。
調査データ:ブラジル南部のロードランナーの間でスポーツ関連の皮膚炎が発生
このデータは、「長距離ランナーの皮膚病の有病率を調べる」べく、下記の3つのカテゴリ(週間走行距離)に分け、計74人を対象に調査。
- 25km未満:28人
- 25〜64km:32人
- 65km以上:14人
結果、最も多かった皮膚トラブルが「水ぶくれ」で、続いて多かったのが「擦れ」になります。
症状 / 走行距離(週) | 25km未満 | 25~64km | 65km以上 | 合計 |
水ぶくれ | 12人 | 17人 | 9人 | 38人 |
擦れ | 11人 | 13人 | 8人 | 32人 |
それも、週間走行距離が「65km以上」走るランナーより「25km未満」のランナーのほうが、擦れが多いという結果になっています。
おそらく週65kmも走る方はランニング歴が長いということで、それなりに対策をしており、数が少ないのかと思います。
逆に、週25km未満と、あまり走らないランナーでも、それだけ多くの方が「擦れ」に悩まされているということで、かなり多くの方が悩んでいることが分かりますね。
調査データ:ブラジル南部のロードランナーの間でスポーツ関連の皮膚炎が発生
なぜ、ランニング中に擦れが起きるのか?
前述の通り、擦れは、皮膚とウェアが連続的に接触する(摩擦される)ことで引き起こされますが、加えて、運動中に汗をかくことで皮膚が湿ることが原因として挙げられます。
国立研究開発法人 科学技術振興機構の「皮膚表面における摩擦と触覚センシング」の情報によると、水に濡れることで皮膚の摩擦係数は上昇すると記載されています。
12名の被験者を対象に、皮膚の摩擦を評価。
腕に少量の水を滴下すると、摩擦係数は0.3から1.6まで上昇したことが分かっています。
これは水の塗布によって皮膚が柔らかくなり、接触面積が大きくなることで摩擦係数が上昇したものと解釈されています。
このようにランナーは汗をかくことで、皮膚が濡れ、ウェアと皮膚が摩擦しやすい環境になってしまっていることが原因で、擦れが起こってしまうのです。
快適に走るためには、これらの原因を理解し、適切な予防策を講じることが重要でしょう。
ランニング中の擦れを防ぐ方法
続いて、ランニング中の擦れを防ぐ方法を紹介します。
下記の部位が擦れやすい箇所です。
- 肩や背中
- バックパック(リュック)が揺れることで、ウェアの生地が皮膚に触れて、擦れる
- 乳首
- 寒い日に乳首が立つことで、ウェアの生地が皮膚に触れて、擦れる
- 脇
- 腕振り時に、ウェアの生地や縫い目が皮膚に触れることで擦れる
- 太もも
- ハーフパンツや下着(パンツ)の生地や縫い目が、皮膚に触れることで擦れる
- 股
- 下着(パンツ)の生地や縫い目が、皮膚に触れることで擦れる
これらの擦れやすい箇所の対策も、合わせて解説しています。
[対策①] 皮膚保護バーム・ワセリンを塗る
皮膚保護バームやワセリンのような肌を保護するアイテムを、擦れやすい箇所に塗るのが効果的です。
(先ほどの)国立研究開発法人 科学技術振興機構の「皮膚表面における摩擦と触覚センシング」の情報によると、ワセリンやミネラルオイルなどの油剤を皮膚に塗布すると、皮膚の摩擦係数は数〜数十%低下することが分かっています。
塗ることで摩擦を低減する役割を果たすとともに、肌の表面にバリア・油膜を作り、肌を守ることができます。
すべての箇所に対応しており、肌の擦れを防ぐことができます。
- 首元
- 肩や背中
- 乳首
- 脇
- 鼠径部
- 内もも
- 足
関連記事:【実費レビュー】ボディグライド Bodyの性能とは?ランニング中の擦れ対策に最適な皮膚保護バーム
[対策②] コンプレッションウェアを着用する
コンプレッションウェアとは肌にぴったりと密着するアイテムのことで、皮膚と生地の間に隙間ができないため、擦れを防げます。
アイテムとしては、「アンダーウェア」や「ハーフタイツ」、「ロングタイツ」などが挙げられます。
また、コンプレッションウェアは着用することで、下記の効果が得られます。
- パフォーマンスアップ
- 疲労軽減
- 姿勢の矯正
高機能なアイテムなので、価格はそれなりにします。
そのため、「擦れ対策だけしたい」というより、「レースなどパフォーマンスを発揮したい場面で着用したい(、ついでに擦れ対策も)」方におすすめのアイテムです。
- 肩や背中
- 乳首
- 脇
- 太もも
- 股
関連記事:ランニングにおすすめのハーフタイツ6選|着用する効果と選ぶ際のポイントを解説
関連記事:ランニングにおすすめのコンプレッションウェア(アンダーウェア)5選|着用する効果と選ぶ際のポイントを解説
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[対策③] 縫い目、タグなしウェアを着用する
ウェアにある縫い目やタグに皮膚が当たって、痛みを伴う場合があります。
そのため、縫い目やタグのない(少ない)ウェアを着用するのも一つです。
下記のミズノのランニングシャツは腕振り時に、縫い目のあたりが気になりにくい独自設計のため、脇が擦れにくいです。
何度も着用していますが、これまで擦れによる痛みは発生していないです。
関連記事:【実費レビュー】ミズノ ドライデオドラントTシャツの性能とは?旅ランやマラニックに最適なランニングウェア
また、「太もも」や「股」の擦れが気になる方はシームレスのパンツ(下着)を用意すると良いでしょう。
R×L(アールエル)では、1着4,000円と、やや高額ではありますが、「ランナーのために作られた完全無縫製インナーパンツ」を販売しており、擦れを軽減してくれます。
価格を抑えるなら、ユニクロで販売している「エアリズムウルトラシームレスボクサーブリーフ」がおすすめです。
わたしはランニング時、日常生活ともに愛用していますが、縫い目、タグがないアイテムで、とても薄く、かつ肌触りが良いので、とても快適です。
価格も1着1,000円と、アールエルのパンツより低価格なので、お求めやすいのもポイントです。
- 肩や背中
- 乳首
- 脇
- 太もも
- 股
[対策④] 柔らかい肌触りのTシャツを着用する
「乳首」や「脇」、「肩」などの擦れ対策で、もう一つおすすめなのが、柔らかい肌触りのTシャツを着用することです。
わたしの経験では、柔らかい肌触りのTシャツを着用すると、擦れを軽減できました。
下記のような、柔らかい肌触りで、肌に馴染むウェアが有効です。
一方、ザラザラとした肌触りのウェアは、擦れやすいです。
ワセリンを塗ることで、擦れは軽減できますが、合わせて、柔らかい肌触りのTシャツを着用しましょう。
- 肩や背中
- 乳首
- 脇
[対策⑤] ニップレスシールを貼る
「乳首」の擦れ対策をするなら、ニップレスシールがおすすめです。
絆創膏を貼る感覚で、乳首にシールを貼り、擦れを防ぎます。
- 乳首
[対策⑥] インナー付きのハーフパンツを着用する
「股」の擦れ対策をするなら、インナー付きのハーフパンツ(の着用)がおすすめです。
インナー付きハーフパンツは、下着を着用せずに履けるハーフパンツのことです。
通常、「下着+ハーフパンツ」の2枚を着用しますが、本アイテムであれば、「ハーフパンツ単体」での着用になるため、股が擦れにくいです。
インナー付きであれば、下着のような密着感がないため、お尻周りが汗かきにくいメリットもあります。
「下着は絶対履きたい」「下着は履きたくない」など、完全な好みなので、下着を着用せずにハーフパンツを履きたい方は、インナーありタイプがおすすめです。
- 股
関連記事:【実費レビュー】UAローンチ 7インチ ショーツの性能とは?900を超えるAmazonレビューのハーフパンツ
擦れてしまった場合の対処法
最後に、皮膚が擦れて傷ついてしまった場合の対処法を紹介します。
ここでは、わたしが行っている流れをお伝えします。
擦れた皮膚が傷ついてしまった場合、その傷口に気づくのはランニング中、もしくはランニング後です。
なので、ランニング後、シャワーを浴びる流れで、傷口を洗い、細菌の侵入を防ぎましょう。
傷口を清潔にしたら、オロナインを塗ります。
公式サイトにも「すりきず」「きりきず」に対応していると記載してあるため、しっかり塗って、消毒します。
擦り傷の場所(乳首や股など)によっては、日常生活(ランニングのような激しい動作でなくても)でも擦れて痛みを伴うため、絆創膏を貼り、擦れを防ぎます。
夏場は汗で絆創膏が取れやすいので、定期的に取り替えましょう。
擦り傷ができてしまったら上記の流れで「消毒 → 保護」をしましょう。
これらの対応をすぐに行うことで、症状の悪化を防ぐことができます。
まとめ
今回は、ランニング中の擦れ対策を紹介しました。
改めて、自身でできる擦れ対策です。
- ワセリンを塗る
- コンプレッションウェアを着用する
- 縫い目、タグなしウェアを着用する
- 柔らかい肌触りのTシャツを着用する
- ニップレスシールを貼る
- インナー付きのハーフパンツを着用する
コンプレッションウェアや縫い目のないウェア、肌触りの良いウェアはお金がかかるため、手軽にできることではありません。
そのため、一番おすすめな擦れ対策は、ワセリンを塗ることです。
全箇所対応でき、価格は500円前後と、お求めやすい価格帯なのが良いです。
また、ワセリンは普段のランニングだけでなく、レースでも活躍するので、ぜひ持っておきましょう。
本日は以上です。
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