フルマラソンの「グロスタイム」とは?ネットタイムとの違いや目安を初心者向けに解説

yusuke saito
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フルマラソンの大会に出場し、完走後に記録証を確認すると、「グロスタイム」と「ネットタイム」という2つのタイムが表示されています。

  • 「自分の本当の記録はどっち?」
  • 「サブ4・サブ5はどちらのタイムで判断するの?」

実は、グロスタイムとネットタイムの違いを正しく理解していないと、目標達成の判断を間違えてしまう可能性があります。

せっかく努力して完走したのに、「達成したと思ったのに公式記録では未達だった…」というケースも珍しくありません。

特に初心者が注意すべきなのは、「大会の制限時間はどのタイム基準なのか」や「サブ4/サブ5などの目標はどちらで判断するのか」です。

この仕組みを理解しておくことで、レース当日の戦略やペース配分も変わってきます。

本記事では、フルマラソンのグロスタイムとネットタイムの違いをわかりやすく解説し、初心者がどちらを目標にすべきかまで詳しく説明します。

この記事を読み終えるころには、タイムの仕組みをしっかり理解し、自信を持ってスタートラインに立てるようになります。

フルマラソンのグロスタイムとは?(公式記録の考え方)

グロスタイムとネットタイムのある「石垣島マラソン

グロスタイムの定義

グロスタイム(Gross Time)とは、スタートの号砲(ピストル)が鳴った瞬間から、ゴールラインを通過するまでの合計時間のことです。

つまり、大会全体の“公式時計”で計測されるタイムを指します。

最大のポイントは、「自分がいつスタートラインを越えたかは関係ない」という点です。

大規模なマラソン大会では、参加者が1万人〜3万人規模になることもあり、整列ブロックによってはスタートラインを通過するまでに数分かかるケースも珍しくありません。

しかし、グロスタイムは号砲と同時にカウントが始まります。

たとえば、

  • 号砲から5分後にスタートラインを通過
  • 実際に走った時間は3時間55分
  • ゴール通過は号砲から4時間00分

この場合、グロスタイムは「4時間00分」となります。

たとえスタート地点の混雑で5分間足止めされていたとしても、時計は号砲とともに動き出しているのです。

そのため、グロスタイムは「大会全体の順位」や「公式記録」として扱われることが多く、伝統ある大会では今でもグロスタイムを正式記録として採用しているケースがあります。

まずは、「グロスタイム=号砲基準の公式タイム」と覚えておきましょう。

なぜ「グロス」が重要なのか?

「自分がまだ走っていない時間まで含まれるのは不公平では?」そう感じる方も多いでしょう。

しかし、陸上競技の正式ルール(日本陸連・世界陸連の規定)では、グロスタイムが公式記録として扱われます。

  • ① 総合順位はすべてグロスタイムで決定: 優勝争いや入賞者の判定は、すべてグロスタイムで行われます。これは、単純に「先にゴールした人が勝ち」というレースの原則に基づいているためです。自己ベストを公式に証明したい場合や、他大会の出場資格タイムに使用する場合も、基本はグロスタイムで判断されます。
  • ② 公認記録はグロスタイムが基準: 陸連公認大会で「公認記録証」を発行してもらう場合、記録として扱われるのは原則グロスタイムです。
  • ③ 大規模大会では“待ち時間”も競技の一部: 東京マラソンのような都市型マラソンでは、後方ブロックのランナーがスタートラインを通過するまでに10〜20分かかることも珍しくありません。それでも、号砲と同時に時計は動き続けます。この「待ち時間」も含めてマラソンという競技であるというのがグロスタイムの考え方です。

まとめると、グロスタイムは「順位を決める基準」「公認記録の基準」「大会の正式なタイム」という位置づけになります。

フルマラソンのネットタイムとは?(自分の実力を知る指標)

公式記録がネットタイムの「湘南国際マラソン

ネットタイムの定義

ネットタイム(Net Time)とは、自分自身がスタートラインを通過した瞬間から、ゴールラインを通過するまでの“純粋な走行時間”のことです。

グロスタイムが「号砲基準」なのに対し、ネットタイムは“自分基準”のタイムと考えると分かりやすいでしょう。

ネットタイムの計測方法

第73回勝田全国マラソン_31らん(さいらん)_レビュー
ランニングシューズに取り付けるICチップ

マラソン大会では、アスリートビブス(ゼッケン)の裏側やシューズに装着された「ICチップ」によって、正確なタイムが計測されています。

コース上には計測マットが設置されており、ICチップが通過を感知することで、一人ひとりのタイムが自動で記録されます。

  • 計測開始: スタートマットを踏んだ瞬間
  • 計測終了: ゴールマットを踏んだ瞬間
第73回勝田全国マラソン_31らん(さいらん)_レビュー
計測マット「勝田全国マラソン
計測マット「ひたちシーサイドマラソン
計測マット「湘南国際マラソン

つまり、自分が実際に走り始めてからゴールするまでの時間だけがカウントされるのがネットタイムです。

ネットタイムは「真の走力」がわかる指標

ネットタイムの最大のメリットは、混雑によるタイムロスを排除できることです。

たとえば、

  • スタートライン通過までに15分かかった
  • 実際に走り出してからは4時間45分でゴール

この場合、グロスタイムは5時間00分ですが、あなたの実際の走力は4時間45分(ネットタイム)になります。

練習の成果を測る指標として見るべきなのは、基本的にネットタイムです。

  • ペース配分が適切だったか
  • 後半に失速しなかったか
  • 次回はどれくらい短縮できそうか

こうした分析を行う際には、ネットタイムが最も正確なデータになります。

市民ランナーはネットタイムを重視する傾向

近年では、多くの市民マラソン大会で完走証にネットタイムも併記されるようになっています。

SNSで「サブ4達成!」「初サブ5成功!」と報告する場合も、ネットタイムを基準にするランナーが増えています。

特に後方ブロックからスタートするランナーにとっては、ネットタイムこそが自分の努力の結果を正しく反映する数字と言えるでしょう。

まとめると、ネットタイムは「自分の実力を知る指標」「練習成果を測る基準」「次回レース戦略の材料」として活用するのが最適です。

グロスタイムが「大会公式のタイム」なら、ネットタイムは「あなた自身のタイム」

この違いを理解しておくことが、マラソン上達への第一歩です。

【比較表】グロスとネットの違いを一目でチェック

フルマラソンの「グロスタイム」と「ネットタイム」の違いを、初心者でもすぐ理解できるように表にまとめました。

項目グロスタイムネットタイム
計測の起点スタートの号砲(ピストル音)自分がスタートラインを通った時
公式記録としての扱い採用される(公式・公認記録)基本的に参考記録扱い
順位の判定グロス順で決まる順位には反映されないことが多い
制限時間の判定こちらが基準になる基準にならない
実力の把握混雑に左右される正確に把握できる

初心者ランナーが特に注意すべきなのは、制限時間はグロスタイム基準になることが多いという点です。

一方で、練習成果の確認や「サブ4・サブ5達成」の自己評価は、ネットタイムで判断するケースが増えています。

この違いを理解しておくことで、目標設定・ペース配分・レース戦略がより明確になります。

初心者が注意すべき「スタートロス」と「関門閉鎖」の罠

ここが、この記事で最も伝えたい重要なポイントです。

初心者ランナーほど、グロスタイムとネットタイムの違いを「単なる呼び方の違い」と軽く考えてはいけません。

完走できるかどうかに直結する、非常に重要な要素だからです。

1. 「スタートロス」という魔物

東京マラソンや大阪マラソンのような都市型マラソンでは、数万人が一斉に参加します。

エントリー時の申告タイムが遅い初心者ランナーは、最後方ブロックからのスタートになることが一般的です。

号砲が鳴っても、すぐに走り出せるわけではありません。

前方の何万人ものランナーが動き出すのを待つ間、その場で足踏み状態が続きます。

この待ち時間を 「スタートロス」 と呼びます。

スタートロスの目安
  • 小規模大会: 数十秒〜2分程度
  • 大規模大会: 10分〜20分以上になることも

下記、スタートラインを超えるまでの実際の待ち時間です(どれも中間の位置で待機)。

定員19,500人規模「湘南国際マラソン号砲8分後スタート
定員6,000人規模「ひたちシーサイドマラソン号砲1分後スタート
定員5,000人規模「いわきサンシャインマラソン号砲3分後スタート
定員16,000人規模「京都マラソン号砲4分後スタート
定員9,000人規模「新潟シティマラソン号砲6分後スタート
定員2,000人規模「石垣島マラソン号砲53秒後スタート

ネットタイムでは「サブ5(5時間切り)」のペースで走っていても、グロスタイムではそのスタートロス分がすでに経過しています。

ここを理解していないと、「ペース通り走れているのに時間が足りない」という状況に陥ります。

2. 【最重要】制限時間は「号砲基準」

マラソン大会には、コース途中に「関門」が設けられています。

決められた時刻までに通過できない場合、その時点でリタイア(収容)となります。

さらに、最終制限時間(例:6時間以内)も設定されています。

そして重要なのは、ほぼすべての大会で、制限時間と関門閉鎖は「グロスタイム(号砲基準)」で判定されるということです。

具体例:制限時間6時間の大会

もしあなたが、スタートライン通過までに20分かかった場合、完走までに残された時間は、ネットタイム換算で5時間40分しかありません。

つまり、「ネットタイムで6時間以内に走ればOK」という考えは危険なのです。

最後尾ブロックのランナーにとっては、実質的な制限時間が短くなっていることになります。

大会公式サイトに、「※マラソンは5時間40分以内に完走できる方とします」といった注意書きがある理由は、まさにこのスタートロスを考慮しているからです。

初心者が取るべき対策

初心者の皆さんは、必ず次の2点を意識しましょう。

  • 自分のスタートブロック位置を把握する
  • 想定スタートロスを考慮したペース設定をする

特にサブ5・サブ6を目指すランナーは、「ネット基準」ではなく「グロス基準」で逆算する」ことが重要です。

グロスタイムとネットタイムの違いは、単なる用語の違いではありません。

完走できるかどうかを左右する、非常に現実的な“罠”なのです。

スタートロスや関門対策には“ペース管理”が最重要

第73回勝田全国マラソン_31らん(さいらん)_レビュー

グロスタイム基準で制限時間が決まる以上、「今どのくらいのペースで走っているか」を正確に把握することが重要です。

そのためには、GPS付きランニングウォッチが非常に役立ちます。

GPS付きランニングウォッチで確認できること
  • 現在の1kmペース
  • 平均ペース
  • 想定ゴールタイム

上記をリアルタイムで確認できるため、関門対策としても有効です。

関連記事:【2026年】初心者におすすめランニングウォッチ8選!人気ブランドと選び方を紹介

目標設定はどっち?「サブ〇」はネットでいいの?

初心者ランナーが最初に目指す大きな壁、サブ5(5時間切り)やサブ4(4時間切り)

では、これらはグロスタイムとネットタイム、どちらで判断すべきなのでしょうか?

結論から言うと、目的によって使い分けるのが正解です。

基本は「ネットタイム」でOK

市民ランナーの世界では、エリートや実業団選手でない限り、ネットタイムでの達成を目標にして問題ありません。

実際、多くのランナーが次のように考えています。

グロスでは5時間2分だったけど、ネットでは4時間50分だったからサブ5達成!

これは決してズルではありません。

ネットタイムは「自分が実際に走った純粋な時間」です。努力の成果を測る指標としては、最も合理的な数字です。

特に後方ブロックスタートの初心者にとって、スタートロスはコントロールできない要素。

だからこそ、自己評価はネット基準でOKなのです。

ただし、こだわるなら「グロスタイム」

一方で、こんな思いがあるなら話は別です。

  • 公式記録証に「4時間台」と刻みたい
  • 誰にも文句を言わせない完全な達成感が欲しい
  • 将来的にシビアな大会に出場したい

この場合は、グロスタイムでの達成を目指すべきです。

たとえば、「別府大分毎日マラソン」のように、エントリー条件に「グロスタイム〇時間以内の完走歴」が設定されている大会もあります。

このような大会を目指す場合、ネット基準では通用しません。

グロス達成を目指すなら逆算が必須

大規模大会では、スタートロスが10〜15分発生することもあります。

そのため、グロスでサブ4を狙うなら、目標タイム − 想定スタートロス(10〜15分)で走れる実力が必要になります。

グロスタイムのロスを減らすための3つの工夫

フルマラソンでは、スタートロスをゼロにすることはできません。

しかし、工夫次第でグロスタイムとネットタイムの差を最小限に近づけることは可能です。

ここでは、初心者でも実践できる具体策を紹介します。

申告タイムは正確に(少しだけ戦略的に)入力する

スタートブロックは、エントリー時に記入する「予想タイム」によって決まります。

  • 遅すぎるタイムを書く → 最後尾ブロックになる
  • 実力以上に速く書く → 周囲の流れを妨げて危険

大切なのは、「今の実力で最大限狙えるタイム」を記入すること。

練習の30km走やハーフマラソンの記録から逆算し、現実的かつ少しだけチャレンジングなタイムを入力するのがコツです。

適正なブロックに配置されるだけで、スタートロスは大きく変わります。

スタート直後に無理な追い抜きをしない

スタート直後は最も混雑する時間帯です。

グロスタイムの遅れを取り戻そうと、

  • 人をかき分ける
  • ジグザグに走る
  • 無理な加速をする

など、こうした行動をすると、実際の42.195kmより長い距離を走ることになり、体力を無駄に消耗してしまいます。

最初の数キロは、「多少のロスは仕方ない」と割り切ることが重要です。

落ち着いて流れに乗る方が、結果的に後半の失速を防げます。

後半に失速しないためには、クッション性の高いシューズ選びも重要です。

特にサブ5・サブ6を目指す初心者は、軽さよりも「脚を守る設計」を優先しましょう。

関連記事:【2026年版】サブ5おすすめランニングシューズ10選!フルマラソン5時間以内を目指す方必見です

前方ブロックを目指せる走力をつける

一度グロスタイムで好記録を出せば、次回大会ではより前方ブロックからスタートできる可能性が高まります。

前方ブロックになれば、

  • スタートロスが少ない
  • 序盤からスムーズに走れる
  • 関門の余裕も生まれる

という好循環が生まれます。

つまり、「一度しっかりした記録を残すこと」が最大の近道なのです。

よくある質問:ペースメーカーはどっちのタイム基準?

レース中、風船などをつけて一定のペースで走ってくれる「ペースメーカー(ペーサー)」。

サブ5やサブ4を目指すランナーにとって、非常に心強い存在です。

では、彼らはグロスタイムとネットタイムのどちらを基準にしているのでしょうか?

結論:基本は「グロスタイム」基準

一般的に、ペースメーカーはグロスタイム(号砲基準)に合わせて走っています。

たとえば「5時間ペーサー」の場合、

号砲が鳴ってから5時間後にゴールラインを通過する

ように設計されています。

つまり、ペーサーは大会の公式時計に合わせて動いているということです。

後方スタートの場合どうなる?

もしあなたが後方ブロックからスタートし、「スタートロスが10分あった」「途中で5時間ペーサーに追いついた」「そのまま一緒にゴールした」場合、

  • グロスタイム → 5時間00分
  • ネットタイム → 4時間50分

となります。

つまり、ネットでは余裕のサブ5達成です。

逆に、ペーサーより後ろでゴールすると…

ペーサーはグロス基準で走っています。

そのため、ペーサーより後ろでゴールした場合

→ グロスでの目標達成は難しくなります。

グロス基準でサブ5を狙うなら、必ずペーサーより前でゴールする必要があります。

初心者におすすめの戦略

初心者ランナーにとって最も確実な戦略は、「自分と同じ目標タイムのペーサーの背中を追うこと」です。

ペーサーを活用するメリット
  • ペース配分を考えなくてよい
  • オーバーペースを防げる
  • 精神的に安心できる

特に後半の失速を防ぐ意味でも、ペーサーは強力な味方になります。

まとめ

フルマラソンのタイムには、グロスタイム(号砲基準)とネットタイム(自分基準)の2種類があります。

  • 順位や制限時間の判定 → グロスタイム
  • 自分の実力や目標達成の確認 → ネットタイム

特に初心者は、「スタートロス」と「関門閉鎖」がグロス基準であることを理解しておくことが重要です。

サブ5・サブ4などの目標は、基本的にはネットタイムでOK。ただし、公式記録や出場資格を狙うならグロスタイムにこだわりましょう。

この違いを理解しておけば、レース当日も迷わず、自信を持って走ることができます。

本日は以上です。

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マラソンランナー
初心者のためのマラソンブログ「31らん(さいらん)」運営者。2018年6月にランニングを始め、年間2,500km走ってます。これまでの記録は、【フルマラソン】 3:57:54(ちばアクアラインマラソン2024) 【ハーフマラソン】 1:46:18(第39回フロストバイトロードレース)。マラソン大会に向けた流れやトレーニング方法、ランニンググッズを紹介していきます。
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